2019/02/01
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異能の経営者 ~ I know. ~
第13回
【J PREP 斉藤氏】なぜ大学教員の座を蹴って、起業を選んだのか。(Vol.3)
- 経営
- キャリア
- 経営者インタビュー
- 斉藤 淳氏 株式会社J Institute代表取締役CEO
小中高生を相手に英語と教養教育の塾を運営するJ PREP斉藤塾の代表、斉藤淳氏は、イェール大学で助教授まで務めていたものの、後に日本で学習塾を起業する。なぜ大学教員の座を蹴ってまで、学習塾を立ち上げたのか。また、どのように立ち上げ、具体的にどのような未来を思い描いていたのか。詳しく話を聞いてみた──。
■イェール大学教員が、塾をつくるために起業。
――起業したきっかけは何だったのでしょうか。
教員としてイェール大学に戻ってしばらく経ってから、母親が病気になりまして。それを機に帰国したんです。
――日本の大学の教員になる、という選択肢はなかったんでしょうか。
帰国しなければならない事情を相談すると、「うちの大学に来ないか」と誘って下さる研究者仲間には恵まれていたんですが、それでも、日本の大学が魅力的な環境だとはとても思えませんでした。そこで自分の残りのキャリアを過ごすというのは嫌だなと考えました。
――日本の大学の環境があまり良くない、というのは?
例えば、財政政策当局は国立大学の研究の業績を「いかに維持して伸ばしていくか」という視点ではなくて、「いかに予算をカットするか」というコストカッターの視点でしか見ていません。他方で文教政策当局は、50年後にどういった研究成果を世界に対して出していくかということではなくて、天下り先という視点でしか大学を考えていないのではないかと疑っていました。残念ながら、当時の自分の勘ぐりを裏付けるような不祥事も実際に明るみになっていますし。
――そういった環境には身を置きたくない、ということで選択肢として大学は無いだろうと。
そうです。加えて、イェール大学で教えていて、日本の受験勉強をやっているだけでは海外の大学で学ぶ際に必要な英語力の水準に到達しない、と感じました。だから、「海外留学」という選択肢をもっと民主化したい、大衆化したいと考えました。『誰でも留学できるようなインフラとして日本の英語教育を組み立てる』ということに、残りの人生を懸けよう、と。
――でも、それまでは研究者だったわけですよね。
研究者としての自分のキャリアもそこで断念しましたね。自分が研究しない分、いろいろな分野で一流になってくれる中学生を育てればいいかな、という割り切りです。
――そもそも、なぜそこで中学生をターゲットに設定されたんでしょうか?ずっと大学生を教えていたわけですよね。
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