2019/01/10
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第20回
しらけ、後ろ向き、仲が悪いetc. 問題社員へのマネジメント5つのQ&A
- キャリア
- ビジネススキル
- 前川 孝雄氏 株式会社 FeelWorks社長・株式会社働きがい創造研究所会長・青山学院大学兼任講師
Q4:社員同士の仲が悪く、前向きなチーム作りのネックになっています
A4:経営者や管理職自身が社員の人間関係にもっと「深入り」してください
社員の人間関係の問題を放置しておくと、チーム運営にとって大きな障害になることがあります。この場合、問題の性質によって経営者や管理職の採るべき対処法は分かれます。中堅とベテランの女性社員たちがなし崩しに若手女性社員たちの尻拭い役をさせられる一方、当の若手女性社員ばかりがちやほやされている職場がありました。中堅、ベテラン女性社員たちのイライラは募り、結果として若手への意地悪やいじめに発展する兆しがありました。そこで、若手の面倒を見ることを中堅やベテラン女性社員の役割に明確に位置付け手当も付けたところ、問題は治まっていきました。役割任用の在り方を改め、後輩育成を彼女たちの正式な仕事にしたことで意識が変わったのです。
一方で、根本から性格が合わない場合や、決定的に人間関係が悪化した社員同士を仲良くさせるのは難しいものです。その場合は、お互いがなるべく接点を持たないように役割分担や業務シフトを調整したり、座席や勤務場所を離したりするなどの工夫も必要です。
いずれにしても、リーダーはメンバーの人間関係をしっかり把握することが大切です。社員は家族も同然です。長女と次女の仲が悪いのを放置する父親では困るのと同様に、社員同士の人間関係に無頓着な経営者や管理職は問題だと考えてください。社員同士の人間関係には愛情をもって深入りすべきなのです。
Q5:相互理解のために飲み会をセットしたら、「それは仕事ですか?」と聞かれました
A5:「仕事です」と答えましょう。そして、業務時間内に開催してください
仕事とプライベートをしっかり分ける傾向がある若手世代は、プライベートな時間をつぶして会社の飲み会に参加するのを苦痛に感じる場合があります。しかし、ダイバーシティが進む中、社員同士の相互理解を図るためには、飲み会のようなインフォーマルなコミュニケーションの場は重要です。そこで、飲み会の位置付けを従来のように曖昧にせず、「相互理解のために必要なこと(=仕事)」と明示し、目的や意味をしっかり伝え、業務時間内に会社の経費で開催すれば、若手世代も納得して参加するはずです。社員がその効用を実感できれば、自発的に業務時間外の交流が起こることも多いものです。
また、その飲み会も漫然と開催せずに、ときには「夢を語り合う」などテーマを決めたり、お互いの価値観を知るゲームを取り入れたり、スポーツや趣味系のイベントを併設したりと、社員が義務感だけから参加する空気が生まれないよう工夫をすることが大切です。
……いかがでしょうか。経営者や管理職の姿勢や工夫一つで、社員や会社が活性化する可能性があるのです。
拙著『もう、転職はさせない! 一生働きたい職場のつくり方』では、こうした経営者や管理職の皆さんが直面するマネジメント課題や人材育成への処方箋、さらに「働きがい」あふれる組織に変革させていくための実践ステップも紹介しています。企業の経営改革、人事改革をめざす方に、ぜひ参考にしていただきたい一冊です。
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■書籍情報
『もう、転職はさせない! 一生働きたい職場のつくり方』
著者:前川 孝雄、田岡 英明
出版社:実業之日本社
価格:1,620円(税込)
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
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