2018/12/20
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第19回
50歳は「人生の正午」。新たな自分と出会う可能性を誰もが持っている
- キャリア
- ビジネススキル
このような状況を繰り返す中で、多くの人は、現状に慣れてしまいます。何をするかは会社が決め、どのように進めるかを考えて実行する。自身の人生の主導権を明け渡し、会社が決めた役回り、振り付けに合わせて行動します。
この傾向は、男性に、そして高学歴者に顕著です。中核人材を長期雇用して育成するという日本型雇用システムを最も享受するのは大卒男性。そして、享受する代償として、人生の主導権を明け渡すのです。
だから、こうした人たちは、「自分が何をするか」を、うまく決めることができません。能力がないのではありません。経験がないからです。決めたことがないからです。今、日本には、自分の人生の主導権を明け渡してしまったことで、これからの人生を自らの意志でデザインすることができないたくさんのミドル人材、シニア人材がいるのです。
■8つの価値軸、4つの法則
本書に登場している22人のほぼ全てが、そんな日本企業の正社員でした。その人たちが、なぜ、どのようにしてライフシフトできたのか。なぜ自身の価値軸に気付き、どのように変身したのか。本編である22人の変身ストーリーは、まさにその実例です。普通の人たちがライフシフターへと変身するプロセスは、山あり谷あり。人生の危機を、どのように人生の転機へとシフトできたのか。「人を育てる」「好きを仕事に」「社会に貢献」「手に職つけたい」「海外とのかけはしに」「故郷に帰る」「住みたいところへ」「家族とともに」という8つの価値軸に分けて紹介しています。そして、本書の結論部分には、22人の変身ストーリーを通して見えてきた「ライフシフトの法則」が紹介されています。それぞれ個性的でユニークな変身ストーリーなのですが、実はそこには「5つのステージを通る」「旅の仲間と交わる」「自分の価値軸に気付く」「変身資産を活かす」という4つの法則があったのです。
その法則の一つ「5つのステージを通る」のアウトラインを簡潔に紹介しましょう。
ライフシフト・ストーリーには、5つのステージが登場します。このままでいいのか、何かおかしい、と「心が騒ぐ」ステージ。目的地は定かではないけど、何かをやってみようと「旅に出る」ステージ。何かを手掛け、人と出会う中で、どこを目指せばいいのかに気付く「自分と出会う」ステージ。目的地にたどり着くために、インプットや試行錯誤を重ねる「学びつくす」ステージ。そして、過去を活かし、かつ、過去を捨てて新たなことを軌道に乗せる「主人公になる」ステージ。この5つのステージを経て、人はライフシフトを果たすのです。
22人のライフシフターが変身するストーリーが、そして、全員のストーリーに共通する「ライフシフトの法則」が、エグゼクティブやリーダーの皆さま自身の未来を考える上でのすてきなヒントを、あるいは、社内のミドル人材、シニア人材を活性化する上での気付きを提供できるのではないか、と思っています。ぜひ、ご一読ください。
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■書籍情報
『実践! 50歳からのライフシフト術―葛藤・挫折・不安を乗り越えた22人』
著者:大野 誠一、豊田 義博、河野 純子、ライフシフト・ジャパン
出版社:NHK出版
価格:1,620円(税込)
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
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