2018/09/13
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第8回
優秀な人を採用したがるのは、三流社長のやることだ
- キャリア
- ビジネススキル
- 小山 昇氏 株式会社武蔵野代表取締役社長
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「人が辞めたらすぐに新しい人を雇えばいい」という時代は終わり、いまは「次の人が雇えない」状況になっています。 例えば、リクルートによる2019年春卒業予定の大学生の求人動向調査では、従業員300人未満の中小企業の求人倍率(学生1人に対する求人数)は9.91倍となり、過去最高ともいえる状況です。 こうした状況の中でも、社長は強い会社をつくっていかなくてはならない。 それは「人が辞めない仕組み」「人を大切にする会社」をつくることだと思います。 私が経営する株式会社武蔵野の離職率はかなり低い方です。
採用にまつわるわが社の仕組みを紹介します。
■三流社長は、優秀な人を採用したがる、一流社長は、優秀な人もダメな人もとらないように気を付ける
人間関係がうまくいっていない組織の特徴は、「優秀な人材を採用すれば、組織も優秀になる」と勘違いをしていることです。組織を強くする(コミュニケーションを円滑にする)ために必要なのは、能力よりも「価値観をそろえること」です。能力のある社員を集めても、価値観がそろっていなければ、組織はバラバラになります。従ってわが社は、能力よりも、価値観(考え方)を共有できることを重視しています。
価値観がそろっていると、「同じ優先順位で行動できる」「同じスピードで行動できる」ため、少しくらい能力が劣っていても、組織力を強化することが可能です。
ところが、多くの社長は、このことが分かっていない。社員の能力が違い過ぎると、能力が高い社員も、能力が低い社員も、どちらもやる気を失います。
自動車にたとえて考えると、分かりやすいでしょう。積んでいるエンジンのスペック(能力)に差があると、同じスピードで走ることは難しい。軽自動車に乗っている人と、大排気量のスポーツカーに乗っている人を「同じスピード」で走らせると、軽自動車に乗っている人は、「スポーツカーにはついていけない」と諦め、一方でスポーツカーに乗っている人は「もっと速く走りたい」とストレスを感じます。
そこで武蔵野は、1500ccのエンジンを積む上司の下には、1000ccのエンジンを積む部下(あるいは、2000ccの部下)を配置するなど、上司と部下の能力差が出ない組織づくりをしています。
多くの社長は、「優秀な上司」の下に「仕事ができない部下」を付けたり、「それなりの上司」に「仕事ができる部下」を付けたりしています。
しかし、本当は、「優秀な上司」の下には、「優秀な部下を付ける」「それなりの上司の下」には、「それなりの部下を付ける」のが正しいのです。なぜなら、同等の力を持つ人同士で組織を構成した方が、切磋琢磨しやすいからです。すると、個人も組織も活性化して業績が上がります。
他の中小企業と比べると、武蔵野の離職率の低さは、「超異常」です。なぜ、辞めないのかというと、「同じくらいの能力を持った社員が、同じ価値観の下で組織をつくっているから」です。
■迷っている内定者には、「他社へ行ってくれ」と伝える
内定を出しても、すぐに決められない学生が増えています。2017年より二次選考を、学生と採用担当が1対1でカウンセリングをするやり方に変更しました。今に至るまでのエピソードや学生生活、サークル、部活、アルバイトで担当していた役割などから、その学生の特性を洗い出し、どういう会社が合っているのか? 武蔵野ではどう生かせるのか? 時間をかけて落とし込みます。
いわば、武蔵野で働いたイメージを持たせます。志望度が上がった状態で最終選考に進むため、内定後の辞退者数は大幅に減少しました。