TOP スペシャルコラムドラッカー再論 人こそ最大の資産。(前編)

2017/10/10

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スペシャルコラムドラッカー再論

第93回

人こそ最大の資産。(前編)

  • エグゼクティブ
  • マネジメント
人を管理するための従来型アプローチとして、ドラッカーは次の3つを紹介している。

(1)人を助けを必要とする存在と見る、福祉的アプローチ
(2)人を雑事と見る、人事管理的アプローチ
(3)人を費用あるいは脅威として見る、労務管理的アプローチ

結論から言うと、ドラッカーはこの3ついずれもが、人の強みを活かすものとしては機能しないものだと言う。

福祉的アプローチは一時的な助けにはなっても、それは一時凌ぎの「松葉杖」に過ぎず、甘えを生むものでしかない。
人事管理や労務管理は衛生要因(それがないと不満を生むもの)であり手を抜けば問題が起こるので当然行われるべきものではあるが、「人のマネジメント」(=成果をあげさせるためのマネジメント)を行うものではない。

「人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。ところが福祉的アプローチ、人事管理的アプローチ、労務管理的アプローチのいずれもが、人の強みに焦点を合わせていない。人は弱い、悲しいほどに弱い。問題を起こす。手続きや雑事を必要とする。しかし人は、それらのことゆえに雇うのではない。人を雇うのは強みのゆえであり、能力のゆえである。何度もいうように、組織の機能は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することである。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)

「人こそ最大の資産」であるといい、組織の違いは人の働きによるといわれる。
しかし現実には、人のマネジメントについての従来のアプローチのほとんどが、人を資産としてではなく、問題、雑事、費用、あるいは脅威として扱っているとドラッカーは指摘する。

では、どうすれば良いのか?

ドラッカーは、ここで、(1)MBO(マネジメント・バイ・オブジェクティブ)、(2)働くものを資源として見ること、(3)適所適材 の3つを挙げる。
具体的なところについて、次回見てみよう。

プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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