2020/03/19
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第65回
世界を切り開くのは言葉である
- キャリア
- ビジネススキル
- 三浦 崇宏氏 The Breakthrough Company GO代表・PR/クリエイティブディレクター
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ビジネスにおいて、今、数字以上に言葉が求められている。 これまでの時代は、ビジネスで重要視されていたのは、数字だ。 「モノを安くたくさんつくれば、売れる」「よりよいサービスを提供すれば、もうかる」「人を増やせば、売り上げもあがる」――。昭和、平成は目標としての「数字」さえ示せば、それが指針となり、みんなが前に進むことができたのだ。 「世界の枠組み」「ビジネスの仕組み」がかっちり決まっていたため、目指すべき数字だけ示せば事足りた。「今年は1億円稼ぎましょう」「来年は2億円稼ぎましょう」それでよかった。
しかし今はそのベクトルが、定まっていない。時代が変化するスピードは加速している。社会やビジネスのルールもあっという間にアップデートされてしまう。ぼくたち一人一人が、そして企業だって、どちらに行くのが正解なのか分からない。そういう時代だ。だからこそ、どちらに進むべきかを決めて、断言できる人間が強い。
テクノロジーも同じだ。
今は新しいテクノロジーがもてはやされる時代だが、そのテクノロジーの方向性を示すのも「言葉」である。例えば「ポケットに入るような小さなコンピュータがほしい」(iPhone)と誰かが言わなければ、それは永遠に生まれない。「音楽を持ち運びたい」(ウォークマン)、「人間の目と同じ鮮やかさで世界を捉えられるカメラがほしい」(8Kビデオカメラ)、「世界中の外国語を話せるようになる機械がほしい」(ポケトーク)……あらゆる革新的なプロダクトは、革新的な欲望を表現する一言、簡単な言葉から生まれている。
最初に想像し、言葉にする。その新しい言葉、新しい概念、新しい現象がテクノロジーを引っ張り、言葉とテクノロジーの相互作用で現実が変わっていく。言葉とは「テクノロジーが新しい現実を生み出すためのガイドライン」ともいえるだろう。
この世にないモノは無限にある。日々、新しいモノはどんどん生まれてくる。環境もガラガラと音を立てて変わり続ける。それはピンチではなくチャンスだ。自分の欲望を、誰もが望む未来を、自分なりに「言葉」にできた人が「総取り」できる時代だ。