2018/10/11
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第11回
人とは違う生き方をしよう
- キャリア
- ビジネススキル
- 中谷 彰宏氏 作家
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■「いいね!」が集まらないことが、個性だ
「“いいね”はたくさん集まるのですが、ビジネス的に成り立たないのです」と悩む経営者が多くいます。 お客さまは、個性にお金を払います。個性があるということは、人と違うということです。 人と違うことには、「いいね」は集まりません。自分と同じ感覚だから、「いいね」が集まるのです。 経営的には、「いいね」が集まらないことが、成功するのです。 「いいね!」が集まらないと、自信がくじけて、個性が消えていきます。これは「個性」の定義が違うのです。
「いいね!」をたくさん集めようとする発想自体、個性的でなくなります。「いいね!」をたくさん増やそうと思ったら、どこかに書かれたグチ・悪口・ウワサ話をコピペすればいいのです。
ただし、それは自分の個性ではありません。「いいね!」を増やすために個性を消す方向に進むのです。
世界を見ると、爆発的に「いいね!」を集めているものもあります。それは、そもそも「いいね!」を集めようとはしていません。たまたまSNSにアップしただけで、人に見せるために考えたものではないし、ましてやコピペではないのです。
個性も欲しいし「いいね!」も欲しいというのは、欲張った考え方です。「いいね!」が欲しければ、個性を捨てればいいのです。それだけのことです。みんなと同じことをすれば、みんなに理解されて、「いいね!」が集まるのです。
長年売れなかったお笑い芸人さんが、ある時、突然売れるようになることがあります。売れるように芸を変えたのではありません。長年、続けた者の勝ちなのです。最初は「気持ち悪い」と言われていました。それを10年続けていたら、世の中で1人、2人と、「面白いよね」と言う人が出てきて、そこから売れるようになっていったのです。
ネット社会は、一見、多様性社会のように感じます。「いいね!」ボタンがついた瞬間に、没個性になっていきます。本人の中では、「いいね!」が少ないことで悩んでいます。個性を身につけたいなら、まずは「いいね!」を集めることを放棄した方がいいのです。
■「自分らしさ」なんて考えない人が、自分らしく生きることができる
「自分らしさを生かしたビジネスがしたいんです」と、経営者が言いました。「あなたの“自分らしさ”はなんですか」と聞かれても、答えられません。「自分らしさ」は、自分では分からないことです。「これが私の自分らしさです」というものは、本当の自分らしさではないのです。自分らしさは、その人が無意識にしていることの中にあります。反復回数が一番多くて、飽きるほどしていることです。
例えば、地域の町おこしで「うちは○○をウリにしようと思います」と言いますが、それは東京でもさんざん見ています。しかも、一周遅れです。
青森では、トラックの荷台を改造して、そこにお客さまが乗ってリンゴ狩りができるところがあります。「これ面白いじゃないですか」と言うと、地元の人は「恥ずかしいですから写真を撮らないでください」と言うのです。
自分らしさは、本人が飽き飽きしていることです。自分としては、むしろ恥ずかしくて見せたくないことなのです。
ブログで自分らしさを売り出そうとする人は、「いいね!」がたくさんもらえないとか、アクセス数が少ないとかでまた悩みます。ブログで「今日、こんなお店に行きました」というのをアップしても、それは自分らしさではありません。それは、たまたまミシュランの星のついたレストラン行ったからです。いつも行っているところは、写真すら撮りません。むしろ、恥ずかしいから内緒にしたいのです。
それが自分らしさです。
自分らしくあるのは、難しくもあり、同時に簡単でもあります。難しいのは、自分では気付きにくいからです。簡単なのは、ただ繰り返せばいいからです。
自分らしさは、性格のように生まれ持ったものではありません。ましてや必死に探しまわるものでもありません。一番たくさん回数を重ねていることが、自分らしさです。飽きるまでして、飽きても続けていることなのです。