2024/04/18
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第188回
なぜあの人は、いつも成果を出せるのか?── 「ほんとうに」仕事ができる人が持つ2つの資質
- キャリア
- ビジネススキル
- 安達 裕哉氏 ティネクト代表、Books&Apps運営
失敗しない人を誰も信用しない
また、こんな話もある。
さまざまな会社で、「目標必達」という言葉が使われている。従業員に発破をかけるために用いられていると思うが、1つの疑問が常にあった。
「常に目標達成している人物を、信用していいのだろうか?」
確かに、経営者からすれば毎度のように目標を達成してくれる人物はありがたい存在である。給料を上げたり、ボーナスを気前よく振る舞ったりもしたくなるだろう。だが、一方で「常に目標を達成できる」ということは、「目標が低く設定されていた」ということではないか?
ある会社の人事評価制度について議論があった際、「目標の難易度」に話が及んだ。
この会社の経営者は「社員が必ず目標達成してくれないと困る」という方針であった。そのため、目標の達成度合いに応じてボーナスの額や、次の年の昇給の度合いを決定していた。
しかし、低すぎる目標では会社の利益が出ず、高すぎる目標では社員のやる気を損なう。
そこで、毎年のように各部門長は経営者と、「ぎりぎり達成できそうな目標」を折衝することに心を砕いていた。
※イラスト:米村知倫
そして、部門長と社員の努力で、この会社はほとんどの人が毎年、目標を達成していた。経営者は自分の正しさを確信していた。
しかし数年後、この会社の商品は陳腐化し、誰も目標を達成できる人間はいなくなった。あとに続く商品はない。
当然である。リスクの高い試みに誰も手を出そうとしなかったからだ。目標達成できなければ、社員として会社での立場はなかった。
経営者はひとり、「リスクの高い新規事業はオレがつくる」と息巻いていたが、それもかなわず、この会社は事業規模を縮小せざるを得なかった。
もちろん、目標達成が本人の努力の証であることは、疑う余地はない。しかし、毎回のように目標達成をしている人間がいたら、毎年のように目標達成している組織があったら、その働き方を疑ってみるべきだ。
なぜなら「失敗できない」という状況ほど、人間を保守的たらしめることはないからだ。
『イノベーションのジレンマ』(翔泳社)で有名な、ハーバード・ビジネススクール教授のクレイトン・クリステンセンが指摘するように、大企業のなかからイノベーションが起きにくい理由は、まさに「失敗を避ける」からであり、会社員が受ける人事評価にとって失敗が致命的であるからなのだ。
すなわち、無難に目標達成をしていたほうが評価がいいから、イノベーションが起きにくい、と言い換えることもできる。
チャレンジの必要な目標に対して、成果を出せるかどうかは、確率の問題であり、長期的なチャレンジを続けたものだけが成果を出すことができる。それ以外は「偽の成果」と言ってもいい。
2◆仕事ができる人が見えないところで必ずしていること◆
失敗を避けずにチャレンジを続ける
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■書籍情報
仕事ができる人が見えないところで必ずしていること 単行本(ソフトカバー)
著者: 安達 裕哉
出版社:日本実業出版社
価格:1,650円
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
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