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2024/01/15

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スペシャルコラムドラッカー再論

第398回

事業上の意思決定が社会に与える影響。

  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

 

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「マネジメントの行う意思決定が社会に与える影響は、単に社会的責任に関わる問題であるだけでなく、自らの企業に対する責任と不可分の問題である。」(『現代の経営』、1954年)

 

マネジメントには公共の利益に対する直接の責任もある。それは企業が社会の機関であり、その活動が社会に対して重大な影響を与えるという事実による。

 

社会に対するマネジメントの第一の責任は、利益をあげることだとドラッカーは言う。

 

「企業は、社会における富の創出機関であり生産機関である。マネジメントは、経済活動に伴うリスクを補うだけの利益をあげることによって、富の創出能力をもつ資源を維持していく必要がある。さらには、それらの資源の能力を増大させ、その結果社会の富を増大させていく必要がある。」(『現代の経営』)

 

このマネジメントの責任は絶対のものであり回避することはできず、この責任から免れることのできるマネジメントはないとドラッカーは述べる。

 

マネジメントは、利益をあげることは株主への責任だと言う。しかし株主は、少なくとも上場企業であれば株を売ることができる。
だが、社会は企業から逃れることはできない。企業が十分な利益を生み出さなければ社会が損失を被る。企業がイノベーションや成長に成功しなければ、社会が貧困化する。

 

「これとまったく同じ理由により、マネジメントは、明日の経営管理者を準備するという社会的責任をもつ。明日の経営管理者なくしては、資源は誤ってマネジメントされることになる。富を創出する能力が破壊される。」(『現代の経営』)

 

またマネジメントは、社会の信条と一体性を損なうことのないよう、企業をマネジメントする責任を持つ。

 

「これは、行ってはならないことについての責任である。マネジメントはわれわれ市民に対し、絶対的、全面的な服従を要求するがごとき不当な権限を行使してはならない。」(『現代の経営』)

 

自由社会においては、人々(市民、国民)は様々な機関に忠誠を捧げる。決して特定の機関だけに忠誠を誓わせるようなことはできないし、してはいけない。
企業は個人の私生活や市民活動に干渉することはできない。個人はあくまでも自発的に、しかも解消することのできる雇用契約によって企業と結びついているのであって、何か神秘的で解消不能な絆によって結び付けられているのではない。

 

「もちろん、社会の信条と一体性に関わるマネジメントの責任には積極的な側面がある。例えば少なくともアメリカでは、能力と実績による昇進の機会を広く解...

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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