TOP ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術 プロジェクトの遅延リスクをいち早く察知せよ、プロジェクトマネジメントの最適解とは

2023/11/21

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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術

第173回

プロジェクトの遅延リスクをいち早く察知せよ、プロジェクトマネジメントの最適解とは

  • キャリア
  • ビジネススキル
  • 後藤 智博氏 株式会社ビーイングコンサルティング 取締役社長 COO パートナー
 

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プロジェクト環境は、年々、複雑さを増していき、ステークホルダーの増加、コミュニケーション数の増大、市場要求の拡大は止められない。今、プロジェクトの課題に向き合わなければ増大し続けてしまう。

プロジェクトマネジメントに無関心な人はいても、無関係な人はいないでしょう。   企業活動を行っている以上、個人であれ、組織であれ、何らかのプロジェクトに関係しているのです。プロジェクト環境は、年々、複雑さを増していき、ステークホルダーの増加、コミュニケーション数の増大、市場要求の拡大、こういった流れは止められません。あなたが現在抱えているプロジェクトに関する課題は、1年前、2年前、5年前と同じではないでしょうか。その課題が、さらに1年後も、2年後も、5年後も解決できずにいるとしたら、あなたやあなたが属する組織は耐えられるはずもないでしょう。今、課題に向き合わなければ、その課題は増大し続ける一方なのです。

プロジェクトは、問題が発生し続けて遅れるものである

計画時にリスクを把握していたかどうかにかかわらず、プロジェクトを進めていくと毎回のように同じ問題が発生する、といった経験を多くの人が持っています。それには、2度と同じ問題を繰り返さないように対策を打っても、また同じような問題が発生し続けてしまう、という経験も合わせて持っているのではないでしょうか。
 
プロジェクトの問題はさまざまですが、それは必ず「遅れ」として顕在化します。
 
品質未達、リソース不足、部門連携不足などの問題は、プロジェクトの遅れとして現れることで、はじめて皆が認知することになり、事の重大さに気が付くのです。
 
納期よりもずっと前に遅れそうであるということが共有されていれば、まだ良い方です。多くの場合、サプライズ遅延が発生します。前回の報告までは納期に間に合うと聞いていたのに、今回の報告では大幅遅延が突きつけられる、ということも多発します。そして、慌てて対策を検討しますが、納期間近のギリギリの報告で遅延を報告されても、実行できる対策は限られてしまいます。結果として、QCD(品質、コスト、納期)のいずれかを犠牲にせざるを得なくなります。

プロジェクトは「遅れ」を前提としてマネジメントする

プロジェクトは、問題が発生し続けて遅れるものであるならば、「遅れ」を前提としたマネジメントに変化させるのはいかがでしょうか。
 
プロジェクトが「遅れるリスク」をいち早く察知できれば、その遅れの要因をいち早く把握でき、いち早く対策を実行することが可能となります。
 
それは「プロジェクトにバッファを配置する」というシンプルな方法です。「バッファなんてない」という声が聞こえてきそうですが、「バッファ=安全余裕期間」と捉えるのではなく、「バッファ=遅延リスク察知期間」と捉えるのです。
プロジェクトの最後に「バッファ=遅延リスク察知期間」を設定します。それぞれのタスクに遅れが発生した場合、バッファがその遅れを吸収します。一つひとつのタスクが計画日程を守れるかどうか心配し続けることも、全てのタスクに対して遅れが発生したら対策を打ち続けるということも必要ありません。タスクの遅れがバッファの消費に結びついた場合のみ、遅れ理由の特定と対策実行を行うだけでよいのです。

プロジェクトの遅れを信号機のように把握する

プロジェクトの遅れを把握するのは非常にシンプルです。プロジェクトのバッファの消費状況を信号機のように「色」で把握するだけでよいのです。
 
バッファ「緑」=プロジェクト遅延リスクは低い。マネジメント介入の必要なし。
バッファ「黄」=プロジェクト遅延リスクは中程度。課題特定と対策検討の必要あり。
バッファ「赤」=プロジェクト遅延リスクが高い。対策実行の必要あり。
全てのタスクの遅れに対して対策を実行する必要はないのです。プロジェクトのバッファに影響した場合のみ課題特定と対策実行を行うだけで、プロジェクトの遅延リスクは軽減できるのです。信号機の色と同じなので、誰もが直ぐに同じ判断基準を持つことができます。

プロフィール

  • 後藤 智博氏

    後藤 智博氏

    株式会社ビーイングコンサルティング 取締役社長 COO パートナー

    株式会社ビーイングにて事業革新/商品開発にTOC(制約条件の理論)及びCCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)が導入されその考え方に感銘をうける。CCPM対応プロジェクトマネジメントソフトウェア誕生をきっかけに、2005年よりTOC/CCPMを活用したマネジメントイノベーションを支援するコンサルティング専門部隊として活動を開始。自動車メーカーやスマートフォンの新商品開発をはじめとする製造業、IT、医療、建設業など上場大手企業や中小企業などの多種多様な業種・業態へのTOC/CCPMの導入・実践・定着を数多く手掛けている。また、戦略と戦術のつながりを見える化するS&Tツリー(戦略と戦術のツリー)、組織の制約を特定する思考プロセスのエキスパートとして、企業そのものの変革にも数多く携わり、そのコンサルティング手法・幅広い知識・経験には定評がある。日本TOC協会(JTA)代表理事。

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