TOP スペシャルコラムドラッカー再論 「最善の解決案」とはどのようなものか。「最善の解決策」を選択できているか。

2023/11/13

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スペシャルコラムドラッカー再論

第390回

「最善の解決案」とはどのようなものか。「最善の解決策」を選択できているか。

  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

 

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ここまで意思決定における「問題の理解」「問題の分析」「複数の解決案の作成」と見てきた。

 

「ここにいたってようやく、最善の解決策を選定しようとしてよい。もしここまでの段階において行うべきことを行っているならば、それぞれが異なる結果をもたらす幾つかの解決案を手にしているはずである。」(『現代の経営』、1954年)

 

そもそも解決案がひとつしかないことは稀だ。実のところ、解決案が一つしか見つからないとしたら、その解決案は先入観に理屈をつけたに過ぎないものと疑うべきだとドラッカーは言う。

 

複数の解決案から最善の解決策を選定するには、4つの基準がある。

 

第一に、リスクである。
解決案から得られるものと、冒さなければならないリスクとの比較である。

 

「行動にはリスクが伴う。行動をとらないことにもリスクが伴う。しかし問題は、得られるものやリスクそのものではない。両者の比である。あらゆる解決案について両者の比を評価しなければならない。」(『現代の経営』)

 

第二に、経済性である。
解決案のうち最小の努力で最大の成果をもたらすもの、混乱を最小にとどめつつ必要な変化をもたらすものは何か。

 

「あまりに多くの経営管理者が、象撃ち用の銃を手にして雀を追う。逆に小銃をもって40トンの戦車に対峙する。」(『現代の経営』)

 

第三に、タイミングである。
緊急を要するのであれば、何か重大事が起こっていることを組織中に知らせるような解決策が必要である。

 

「逆に長期の継続的な努力を必要とするのであれば、徐々に勢いをつけていくために、ゆっくりスタートする必要がある。」(『現代の経営』)

 

時には問題解決のための行動が最終的なものであって、直ちに組織全体の視線を新しい目標に向ける必要がある。
またときには、まず最初の一歩を踏み出すべきであって、最終的な目標はしばらく明確にしないでおく必要があることもある。

 

「ただしこのタイミングについての決定は、体系的に行うことが極めて難しい。分析の能力ではなく知覚の能力が必要とされる。」(『現代の経営』)

 

この点についても一つの基準があるとドラッカーは述べる。
新しい目標に視点を移し替えることが必要なときには、初めから野心的に大きな視点を与え、計画の全貌と最終目標を示すことだ。
逆に慣行を変えなければならないときには、一歩づつ慎重にゆっくりとスタートし、初めのうちは絶対に必要なこと以外は行ってはならない。

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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