2023/11/01
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イマ、ココ、注目社長!
第379回
次の世代のために、建設用3Dプリンタで建設業界に風穴を開ける。【後編】
- 経営者インタビュー
- 経営
- 組織
- 注目企業
- 大岡 航氏 株式会社Polyuse 代表取締役
2010年ごろからマスコミ等でも頻繁に取り上げられるようになり、産業界での利用も急拡大している3Dプリンタ。3次元データを元に、立体的な物体をつくりだすことができる機器です。株式会社Polyuseは、日本発の建設用3Dプリンタの研究開発から社会実装まで一気通貫で行うベンチャー。ハードウェア、ソフトウェア、マテリアルまで一貫して自社で開発しています。
代表取締役で共同創業者の大岡航氏は、大学在学中に最初の起業をしたのを皮切りに、現在までに4社のベンチャー企業の創業に参画。Polyuseでは施工現場の人手不足に悩む建設業界に着目して、その解決策として建設用3Dプリンタの研究・開発を進め、国や建設業界から大きな注目を集めています。常に「どう生きたいか」を考えて行動しているという大岡氏に、これまでのキャリアや現在のビジネスについて伺いました。
(聞き手/井上 和幸)
短期的目標が積み重なって中長期の目標が定まる
――約2年の研究開発を経て、建設用3Dプリンタが事業として結実したのはいつからだったのでしょう?
大岡 ようやく2021年ぐらいから、実証実験を通して技術を実証できてきて、パートナーであるゼネコン様の工事に適用する事例が少しずつ増えていきました。きっかけはなんといっても2022年1月に実施した高知県の国道改良工事で四国地方整備局土佐国道事務所様、入交建設様と行った国内初の国土交通相管轄の本設構造物への技術適用だと思います。
また、2022年2月には、建築基準法に準拠する形で、群馬県渋川市内にて3Dプリンタ施工による日本国内における初の建築確認申請取得の建築物を造形施工しました。今までは指で数える程度にしかなかった国内事例が弊社を通して現在までで既に100件近い施工事例数が蓄積されてきました。今後もさらに建設現場での導入を加速させていくつもりです。日本では3Dプリンタを想定した法整備が追いついておらず、その点は慎重に進めていく必要もありますが、そうした障害を乗り越えて、いずれは「大型重要構造物や柔軟性に富んだ3Dプリンタ住宅」を提供していきたいと思っています。
――それは夢のある話ですね。新しい技術を普及させるのは大変ではなかったでしょうか。
大岡 新しい技術はメリット、デメリットよりも、社会実装できる範囲にいるのか?といった研究内容や実証実験等も含んだ実績があるのかどうかをまずは問われるんです。車も価格が高いから走らせないということはないですよね。大前提きちんと真っ直ぐ安全に走ることが大事。これが技術シーズになるんです。...
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