2023/05/29
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イマ、ココ、注目社長!
第347回
“デスクレスワーカー”が、簡単・確実・即時につながる世界をつくる。【後編】
- 経営者インタビュー
- 経営
- 組織
- 注目企業
- 平岡 秀一氏 株式会社サイエンスアーツ 代表取締役社長
平岡秀一氏が2003年に設立した株式会社サイエンスアーツは、2015年に「Buddycom」の前身である「Aldio」をリリース、2016年に全面的にピボットしました。それから約5年を経た2021年に上場を果たしています。この間の成長曲線は急上昇といっていいものでしょう。そして平岡氏は今、さらに広大な市場を見据えています。
後編では、今後の戦略、組織論、経営者像について語っていただきました。
(聞き手/井上 和幸)
マーケットを拡大するための4つの戦略
――今後の事業展開については、どのようにお考えですか?
平岡 中長期の成長戦略としては、4つの柱を挙げています。1つ目は現在の中心市場であるエンタープライズ、ラージアカウントと言い換えてもいいですが、その横展開です。
2つ目はSMB、中小企業市場への進出です。実は、国内のデスクレスワーカーの75%は中小企業が占めているんです。ただ、弊社だけではコンタクトできる企業数に限りがありますので、代理店戦略を取っており、携帯キャリア3社にお取り扱い頂くなど、代理店数を増やすことで全国津々浦々まで販売する体制を整えました。
3つ目はエコシステムの強化です。たとえば、介護施設のベッドのセンサーにBuddycomをつないで、入所者の起居を職員に知らせる仕組み。また、量販店などで、お客様が売り場に一定時間以上滞留していたら販売員に知らせるAIカメラ。こうしたセンサーやカメラをBuddycomにつなぐことで、新たなマーケットを掘り起こします。
4つ目は海外進出です。最初に狙うのはアメリカです。アメリカで売れれば、世界で売れるようになる。これまでのところ、ソフトウェアの分野で日本がアメリカで勝てた例はおそらくない。でも、いつかは誰かが勝たなければなりません。我々が、その切り込み隊長を目指します。
ヨーロッパや中国と違って、アメリカでソフトウェア分野の特許を取るのは非常に難しいと実感しています。それだけ、彼らにとってコアなビジネスだということでしょう。でも、サイエンスアーツはすでに国際特許をいくつか抑えました。これからが非常に楽しみです。
――想定されるあらゆる市場を取りに行こうとなさっているわけですね。
平岡 日本にデスクレスワーカーは約4000万人いると推計しています。それだけでも十分に大きな市場ですが、日本はデスクワーカーとデスクレスワーカーの比率がほぼ半々。しかしグローバルでは、デスクレスワーカーが8割に上るんです。特に、人口が増えてい...
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