2023/05/18
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第153回
ミーティングの成否を分けるリーダーの「聞く力」――主体的な発言を引き出すには3つのコツがある
- キャリア
- ビジネススキル
- 矢本 治氏 チームサポートプロ代表。
全ての現場や状態を把握することはできません。部下から自分の気付かない視点や情報をどんどん集めていくリーダーを目指すなら、「裁く癖」は改善しましょう。
2、違う考えを歓迎する
「でも、“変な意見だな”と思うと、表情がつい変わっちゃうんだよね」
「なんか腹立たしい気持ちを抑えられない」
そんなリーダーも多いかもしれません。いくら我慢をしても、表情からにじみ出てくるイライラや怒りは、相手に伝わってしまうものです。
このような場合は、「我慢をする」「イライラを抑える」ではなく、捉え方・感じ方を変えてみる方法をおすすめします。具体的には〈自分と違う意見〉→間違った見解ではなく「個性」→自分が気付かない視点を提供してくれた!
その他、「自分の常識は他人の非常識」と考えてみるのも一案です。
国や人種が違えば常識もまったく違うように、あなたが思う常識も、基本は「幼少の頃から積み上がってきたあなたの個性の塊」です。このように考えてみれば、聞いているあなたの表情は変わってきます。
成功確率の高い決断をできるリーダーは、聞くスキルに長けています。
そして、ミーティングでの聞くスキルが、リーダーのみならず、発言者以外の全員に身に付くことで、職場の雰囲気はガラリと変わります。お互いの個性を生かし、尊重し、協働できるチームへ進化させていきましょう。
3、話を最後まで聞く
あなたは部下の話を聞くとき、発言の腰を折らずに最後まで聞いているでしょうか。
「ちょっと待て! なんでそうなるの?」
「あーわかった! 要するに君が言いたいのは、こういうことだよね?」
「(話の途中で)で、何が言いたいの?」
おそらく「聞いてるよ」と断言できるリーダーは少ないことでしょう。
僕も組織の中で管理職をしていた頃はそうでしたから、気持ちは分かります。リーダーは忙しいですから、とりとめのない長い話や言い訳めいた内容を最後まで聞いている時間はない。どんどん判断しないと、自分が大変なことになってしまいます。
でも、立場を変えて、もしあなたが話している途中に上司が同じように話を遮ったらどう感じるでしょうか。報告したら怒られたり、早合点の要約をされたり……。そんな経験を繰り返したら、気分は良くないですし、報告するのが嫌になりますよね。
もちろん、「まとまりのない報告をする」「事実と解釈を分けて説明できない」「結論を言わずにダラダラ経緯ばかり話す」など、報告の仕方に問題のある部下もいますから、適切な指導をする必要もあるとは思います。
(1)最後まで話を聞いたうえで「今後はこのように報告して」と指導するリーダー
(2)最後まで話を聞かずにイライラした口調で指導をするリーダー
どちらのリーダーの指導が効果的か、よく考えてみましょう。
(2)の部下になると、「機嫌の悪いときに話しかけたから怒られた」と、自分の報告のまずさを省みることもなく、「イライラしがちな上司と非のない部下」という勝手な解釈をします。これも問題なのです。
話を最後まで聞かない上司のもとでは、仮に報告の仕方を上司が指導したとしても、部下が素直に改善する可能性も低くなります。
忙しい普段の会話から気を付けるのは難しいかもしれません。だからこそ、最初は「ミーティングのときだけ」でかまいません。話を最後まで聞くミーティングを繰り返すことで「普通にできる」に少しずつ変わります。「聞く力を持つリーダー」になりましょう。 他の記事も読む。60秒で簡単無料登録!レギュラーメンバー登録はこちら >
■書籍情報
なぜミーティングで決めたことが実行できないのか 単行本(ソフトカバー)
著者: 矢本 治
出版社:日本実業出版社
価格:1,650円
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
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