TOP スペシャルコラムドラッカー再論 最大の問題は、成長に伴う非連続的変化への対応だ。

2023/04/03

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スペシャルコラムドラッカー再論

第360回

最大の問題は、成長に伴う非連続的変化への対応だ。

  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

 

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ここまで数回に渡って、4つの企業規模別に起こる問題について見てきた。
ドラッカーは、企業規模に関わる最大の問題は、これら4つの段階(小企業、中企業、大企業、巨大企業)が連続した過程の各ステップではないことにあると指摘する。

 

「企業は、中企業から大企業へと徐々に成長するのではない。これら4つの段階は別個のものである。すなわち企業の規模は、古典物理学の世界のような連続的な変化の問題として扱うことはできない。量子力学的な非連続の現象として扱わなければならない。企業規模の問題が、量の問題であると同時に質の問題でもあるのはこのためである。」(『現代の経営』、1954年)

 

従って、企業規模に関わる最大の問題は成長の問題だとドラッカーは言う。

 

「ひとつの規模から別の規模への変化に関わる問題である。しかも、成長の問題とはマネジメントの姿勢の問題である。成長に成功するための要件は、マネジメントが自らの姿勢と行動を大胆に変える能力にある。」(『現代の経営』)

 

成長に伴う問題は、第一には企業がいなかる規模に達しているかを認識するための適切な手段がないことにあり、第二に姿勢の問題にあるのだとドラッカーは述べている。

 

「経営管理者、特にトップマネジメントは、頭の中では何が必要かを理解している。だが彼らは、必要な手段をとることを躊躇する。昔からの馴染みのものにかじりつく。組織図の中で分権化を図り、新しい経営哲学を説きつつ、しかも行動は依然として昔のままのものを続ける。」(『現代の経営』)

 

成長した企業の要求に合わなくなった人たちが重要な地位に一人もいないという企業はほとんどない。
彼らは、企業がまだ小規模で自分たちの能力や視野が仕事に相応だった頃、現在の地位につけられた。しかし、企業の成長とともに仕事も成長している。それは地殻の隆起のように上がってしまっているのだとドラッカーは喩える。ところが、彼らは仕事に合わせて成長していない、と。

 

これに対してトップマネジメントは、優しい気持ちから、抜擢人事によって彼ら古参を傷つけることを恐れる。その結果、彼らの存在が原因となって、企業全体からマネジメントのための人材が枯渇していく。

 

「成長はトップマネジメントに対し、常に新しい能力を要求する。彼らの機能が、もはや工場や販売店で何が行われているかを把握することではなくなっていることを認識するよう要求する。トップマネジメントは、成長に伴う問題が、現場管理者や従業員とコミュニケーションを図ることによっては解決できないことを認識しなければならない...

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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