2023/03/15
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イマ、ココ、注目社長!
第319回
省人化のカギを握る画像解析技術。法改正で生活に浸透。【前編】
- 経営者インタビュー
- 経営
- 組織
- 注目企業
- 久田 康弘氏 株式会社ELEMENTS 代表取締役
2022年末、東証グロース市場に上場したELEMENTS(エレメンツ)は、事業の一つとしてオンラインによる本人確認サービスを手掛けています。創業からおよそ9年で上場に導いたのは、代表取締役の久田康弘さん。
もともとは指紋による生体認証サービスで起業しましたが、ある出来事をきっかけに生体認証技術や画像解析技術を用いたオンラインの本人確認サービスにピボットしました。
eKYC(electronic Know Your Customer)の注目ベンチャーの背景に迫ります。
(聞き手/川内 イオ)
起業のきっかけになった気づき
――御社は2015年に、国内初の生体認証決済サービスを始めています。生体認証による本人確認に着目したきっかけを教えてください。
久田 振り返ってみると、中学生の時に戦争、犯罪のメカニズムに興味が湧き、自分でいろいろ調べているうちにアメリカ中心の資本主義に限界が来ているんじゃないかと思うようになりました。戦争も犯罪も、資本主義的な経済合理性に基づいて行われていると感じたんです。
――中学生の時から、現状の資本主義に疑問を抱いていたんですね。
久田 はい。高校に入ってからは、新しい資本主義とはなにかを模索しつつ、「現状のメカニズムを知らないのに批判するのも違うな」と思って、為替や投資の仕組みを勉強しました。それから投資を始めて大卒の初任給を超える収入を得られるようなり、父親から「俺のお金も運用してほしい」と頼まれることもありました。
大学は慶応の法学部に進学し、独学で金融工学を学びながら、国連アジア極東犯罪防止研修所でインターンもしました。
――インターン先でなにを得ましたか?
久田 犯罪には複雑な事情が絡まっているため、インターン先では犯罪の原因と社会との関わりなどを分析するためにさまざまなデータを集めていました。諸外国は経済犯罪が多いのですが、「窃盗や強盗、金融犯罪などで他人のお金を盗ったら、その人のものになってしまう」ことが一番の問題だと感じましたね。「お金を盗んだら自分のものになり、自由に使える」というすごくシンプルなモチベーションなんです。もし、「お金を盗っても使えない」としたら、盗ろうしませんよね。この気づきが、現在の生体認証サービスにつながっています。
コンサル時代に気づいた画像解析の可能性
――インターンが大きな転機になったんですね。大学卒業後は大和証券SMBC(現・大和証券株式会社)に入社されていますが、インターン先での気づきとなにかリンクしているのでしょうか?
久田 いえ、...
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