大企業が抱えるマネジメント構造上の問題。
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井上 和幸
株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
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前回、スタートアップや中小企業が抱えるマネジメント構造上の問題について見たが、では大企業はどうだろう?
「大企業や巨大企業における第一の問題は、CEOの仕事の組織化とその範囲の決定である。」(『現代の経営』、1954年)
CEOの仕事とは何か。いかにそれを組織化するか。いかなる意思決定を行うか。
「(この問題に取り組むには)適切な組織の原理を採用することであり、CEOの仕事をチームの仕事として組織することであり、取締役会を適切に使うことである。またCEOの仕事についても、活動分析、意思決定分析、関係分析を適用することである。」(『現代の経営』)
ドラッカーは、大企業および巨大企業のトップに関わる問題のすべてに対する答えを得るには、そもそもトップの人間の時間の使い方について膨大な検討が必要だと述べている。
CEOとは何か、CEOとは何を行う者か、CEOは何を行うべきかという問題はすべて、まだ十分に明らかにされていない新しい問題だと言う。ドラッカーがこう言及してから70年(!)、この問題はいまもなお藪の中かもしれない。
「大企業および巨大企業における第二の問題は、マネジメントが内輪の存在となり、独善的かつ自己満足に陥りやすくなることである。」(『現代の経営』)
ドラッカーはこのことについて、生物が巨大化するにつれて複雑性を増し巨大化に一定の限界があるのと企業・組織も同じ法則の元にあると述べている。確かにそうだ。
「大企業や巨大企業では一般に、経営管理者たちは一緒に昇進する。互いに知り合いである。毎日電話で話をする。社内の会議で会いセミナーで会う。昼食で会いゴルフ場で会う。話題も共通である。」(『現代の経営』)
これらが企業・組織のガラパゴス化を招く。
もちろん経営管理者の間には組織文化が必要であり、緊密な仲間意識が大事だ。しかしこれは、単に我々のものだというだけの理由で伝統を無批判に受け入れることを意味してはならない。
「これはきわめて深刻な問題である。対策も一つでは足らない。まず、社外の熱心で有能な人たちからなる独立した取締役会をもつことである。さらに、マネジメントの人間を外へ出し、他の企業や職業の人たちと会わせることである。経営管理者たち自身、大学の上級マネジメントコースに参加することのメリットとして、他社の人に会い、意見や情報を交換し、自社の行っていることが唯一のものでないことはもちろん、最善のものでもないことを知る機会に...