2023/02/03
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イマ、ココ、注目社長!
第308回
目指すのは、業界のDXのみならず産業のIXさえ引き起こす国際物流のバーティカルプラットフォーム【前編】
- 経営者インタビュー
- 経営
- 組織
- 注目企業
- 佐藤 孝徳氏 株式会社Shippio 代表取締役
165兆円に迫るといわれている巨大な貿易産業。しかし、長い歴史があるゆえに、しがらみや複雑なレギュレーションが存在し、とくに国際物流の領域では、放置されたままの課題の多さや効率性の低さが長く問題となっていました。
株式会社Shippioは、そうした国際物流業務を一気通貫でサポート。国際物流プラットフォームの提供とデジタルを活用したビジネスモデルの効率化によって業界の課題を解決することで、さらなる変革を起こそうとしているスタートアップです。代表を務めるのは、三井物産でビジネスを俯瞰する大きなスコープを身につけたという佐藤孝徳さん。前編では、佐藤さんがShippio起業に至るまでの経緯を伺いました。
(聞き手/井上 和幸)
重大なリスクはごくわずか。日本の枠に収まらない仕事がしたい
――新卒で三井物産に入られていますが、なぜ当時、この選択をされたのでしょう?
佐藤 何かしらグローバルに関わる領域で、とにかくめちゃくちゃ働きたいという気持ちがありました。商社に入社したからといって必ずしも将来の可能性が広がるとは限りませんが、少なくとも狭まることはない。そのあたりが入社を決めた動機だったと思います。
――入社してまずは石油部へ。その後、社内でどのような経験を積まれたことが起業につながったのですか?
佐藤 石油部でトレーディングからオペレーションまで幅広く経験しましたが、大きかったのは二度にわたる中国での体験です。一度目は2009年〜2011年の間、今でも三井物産にある修業(しゅうぎょう)生という仕組みで、研修員として上海や天津に住みました。ちょうど上海万博(2009年)、北京オリンピック(2010年)の時期と重なり、日に日に生活もインフラも良くなるタイミングでした。一方で、水も空気も日本に比べれば汚く、街を歩けばスリにも遭うという、夢や希望と現実がごちゃ交ぜになったカオスな時代を体験しました。これがまさに、日本の高度経済成長期を疑似体験するような刺激的な体験で、当時の僕はまだ中国語もほとんどできない状態で中国に渡りましたが、「この混沌のなかで何かを成し遂げたい」という想いを持って働いていました。
――では、帰国後程なくして(2013年に)再び中国に行かれたのは、そうした想いの強さ故ですか?
佐藤 いえ、そこはあまり関係ありません。中国から一度目の帰国後は、企業投資部に異動になり、小さなスタートアップやベンチャー企業との仕事をしていました。日本から始まり、中国、インドネシア、イスラエルなども担当し、投...
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