2022/11/22
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敏腕キャピタリストの着眼点
第37回
優れた技術シーズを事業化につなげる。大学発ベンチャーがつくる未来。【後編】
- 経営
- 組織
- 伊藤 毅氏 Beyond Next Ventures株式会社 代表取締役社長
今回の「敏腕キャピタリストの着眼点」は、Beyond Next Ventures株式会社代表取締役社長の伊藤毅氏にご登場いただきます。同社は、大学研究発のベンチャーを中心に革新的な技術を持った企業に投資するベンチャーキャピタルです(2014年創業)。
伊藤毅氏は、東京工業大学大学院理工学研究科で化学工学を専攻したのちジャフコに入社し、産学連携投資の責任者を務められ、その後独立して起業し未来を創造する起業家を支援しています。伊藤氏に、大学発ベンチャーに投資する意味、ベンチャー経営者を見る際のポイント、いま注目すべき投資先企業の技術などを伺いました。前後編の2回にわたってお届けします。
(前編はこちら)
(聞き手/井上和幸)
優秀な経営者は「やり切る力」を持っている
井上 スタートアップを中心に、たくさんの経営者を見てきたと思います。経営者を見るときに、どんなところを見て、どういう点で評価されているのでしょうか。
伊藤 シード段階で経営者を判断するのは、十何年投資の仕事をやっていても難しいなと感じます。やはりこれまで投資してうまくいっている経営者は、共通して「やり遂げる力」のようなものを持っていると思います。スタートアップは山あり谷ありです。そういうときにそこを乗り越えて、前に進んでいく力が必要です。これは本当に人によって違いますね。
井上 確かにやり遂げる力は経営者にとって必須ですよね。
伊藤 逆に言うとそれがあれば、たとえ計画通りにいかなくても事業は必ず成功していくのではないでしょうか。その人が掲げている旗を下げない限りは、前に進んでいくはずです。経営者とお会いするときには、その人の根源にある事業に対する想いなどをお聞きしながら、そのあたりの判断をしています。
井上 そのほかに経営者のどんなところを観ていますか?
伊藤 スキル的なことでは、いかに多くの人たちを巻き込めるかどうかが重要です。会社を立ち上げた当初は、もともと関係性があって仲が良い共同創業者のような人しかいません。しかし、組織が大きくなると社員や株主、取引先など多くのステークホルダーと良好な関係を築いて、みなさんに応援してもらえる存在になることが必要です。それもまた良い経営者の条件ではないでしょうか。
井上 本当にそう思います。いまおっしゃられたようなことは、経営者のみなさんからもよく聞きますね。
伊藤 最近のベンチャーは優秀なバックグラウンドを持つ方が入ってきて、短期的にチームをつくったり、投資家が興味...
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