TOP スペシャルコラムドラッカー再論 取締役会のあるべき姿と人選。

2022/10/31

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スペシャルコラムドラッカー再論

第339回

取締役会のあるべき姿と人選。

  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

 

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これまで数回に渡って、CEO一人体制の危険性についてドラッカーの考えをご紹介してきた。しかし、まだ述べていない理由があると言う。

 

「それは、CEO一人体制が、企業の機関としての取締役会を形骸化する危険である。」(『現代の経営』、1954年)

 

企業において、取締役会は法に基づく唯一の機関だ。形は違えど、あらゆる主要国の企業各社に取締役会に相当するものがある。

 

「法的には、取締役会はオーナーたる株主の代表であり、あらゆる力を持つ。取締役会だけが力を持つ。しかし実際には、法が規定した取締役会が、くたびれた虚構程度のものになっている。傀儡になっているといって過言でない。」(『現代の経営』)

 

ドラッカーは、ほとんどの大企業において取締役会が事実上無力化し、マネジメントにとって代わられていると指摘する。

 

「社内のトップマネジメントのみによって構成され、月に一度、第一月曜日に、前月の自分たちの活動を承認するだけの存在になっていることもある。あるいはいかなる情報も影響力も、権力への色気も持たない著名人で飾った陳列棚になっていることもある。」(『現代の経営』)

 

ドラッカーらしい皮肉な表現だが、21世紀の現在でもなお、見られる現象であると言えるだろう。
興味深いのは、こうしたことがあらゆる国で共通して起こるということだ。なぜだろう?

 

「原因のいくつかを挙げるならば、株主の代表が企業を運営することをむしろ異様なことにしてしまった所有と支配の分離がある。そして今日の事業活動の複雑さがある。さらに重要な原因として、取締役として真摯にその職務を果たしてくれる時間のある優れた人たちの不足がある。」(『現代の経営』)

 

企業には、取締役会だけが果たすことのできる現実の機能がある。

 

・事業が何であり、何でなければならないかについての意思決定を承認する
・企業が設定した目標と基準を最終的に承認する
・企業の利益計画、投資方針、予算を批判的な目をもって点検する
・組織に関わる問題について最終判断を行い、最高裁の役を務める
・組織の文化を監視し、その組織文化が人の強みを生かし、弱みを意味ないものにしていることを確認する
・明日の経営管理者が育成されていることを確認する
・経営管理者の報奨や、マネジメントの手法と方法論が、組織を強化し、組織を目標に向けて動かしていることを確認する

 

ドラッカーは、ざっと上記のような事項を取締役会の専管事項として挙げている。

 

「取締役会は...

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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