2022/10/21
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敏腕キャピタリストの着眼点
第34回
めざすは100兆の企業群。1社では成し得ない目標に挑み、より良い世界を作りたい。【後編】
- 経営
- 組織
- 吉村 英毅氏 株式会社ミダスキャピタル 代表パートナー 株式会社BuySell Technologies取締役会長
株式会社ミダスキャピタル(代表パートナー:吉村英毅氏)は、2017年に創業したプライベートエクイティファンド(PE)だ。非常に特徴的なのは、①PEファンドという形は取りつつも外部資本は集めず、原則、出資メンバーは完全内部に限定していること、②実質的なファンドの期限が来ないため中長期目線でリターンの最大化を追求できること、③大企業の優秀なビジネスパーソンや起業家・実業家が多く参画していること――などである。
それぞれの発行体は完全に独立したマネジメントメンバーで経営されているが、それぞれが価値最大化をめざしていくと同時に深い相互扶助を行う。これによって、日本発の世界に冠たる企業群――具体的には10兆、100兆規模の企業群づくりに最速でチャレンジしていくというのである。代表パートナーの吉村氏にビジョンやこれまでのキャリア、人材に対する考え方などをうかがった。
(前編はこちら)
(聞き手/井上和幸)
井上 ところで、ミダスキャピタルはどのようにおつくりになり、どのようにこれまで育ててきたのですか?
吉村 ミダスキャピタルのファーストディールは、『株式会社BuySell Technologies(バイセルテクノロジー)』という会社でした。これは2017年、いまから5年前に50億円で創業者の方から買収しまして、うち40億円をわたしが出しました。それがスタートです。結果的に、買収してから2年後に上場しました。
これはミダスの典型的なディールなのでもう少し詳しくご説明させていただきます。50億円で買収して、2年後の上場時の公募時の総額が130億円だったんですね。LBOローンのローンレバレッジを考えると2年で5、6倍になっているので、通常のPEファンドならば喜んで全部売ると思います。
しかし、わたしたちは短期間でのIRRを最大化するのではなく、中長期で世界に冠たる企業群をつくるのが目標なので、IPOのときも実際に3%ぐらいしか売っていません。その後もずっと成長し続けて、いまバイセルは900億円ぐらいの時価総額ですが、その約60%を所有しています。
企業群への参画で期待するのは「ビジョンへの共感と相互扶助」
井上 改めてお聞きすると、それぞれの成長の仕方が凄まじいですね。ところで、ミダス企業群の中に、こういう会社に仲間として入ってほしいという基準はどんなところにありますか?
吉村 わたしたちの目線としてはふたつあります。ひとつは規模的な部分です。わたしたちのビジョンが企業群の時価総額の総計で1兆、10兆、100兆にまでもっていきたいということなので、やはり成功してきたときにある程度規模が大きくなる可能性があるビジネ...
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