TOP スペシャルコラムドラッカー再論 「CEOは一人」だというのは、迷信?

2022/10/11

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スペシャルコラムドラッカー再論

第336回

「CEOは一人」だというのは、迷信?

  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

 

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のっけから妙な質問に聞こえると思うが、皆さんは、企業(or自社)におけるCEOは何人だと思いますか、という問いに対して、どう答えるだろうか?
当然、一人だよ。そう答えるかたが大半かと思う。ドラッカーはこれに対して、次のように言う。

 

「CEOの仕事は、いかに体系的に検討し、組織化し、最大限の分権化を行ったとしても、なおかつ一人の人が行うことのできるものとはならず、一人の人が行うべきものともならない。実のところ、CEOの仕事にまつわる問題の9割は、トップは一人という迷信に原因がある。」(『現代の経営』、1954年)

 

どのような手立てを講じようとも、CEOの仕事はあまりに多く、一人で行うことはできないとドラッカーは断言する。
おおよそ社長が一般的に抱える活動のリストのうち、半分は彼の手から離して他の者に委譲すべきであり、更に残ったその半分でさえ、一人では処理しきれないはずだとドラッカーは言う。
皆さん、どうだろう?

 

「それらのいずれもが、企業にとって重大である。いずれもが、困難である。いずれもが、時間を必要とする。厳密な検討と計画と準備を必要とする。重要な部分だけを処理するとしても、なお一人ができるマネジメントの責任の範囲を超える。」(『現代の経営』)

 

CEOの仕事を構成する活動は、人が一人で行うにはあまりに多様だ。社長の活動リストには、事業の決定、目標の設定など、計画・分析・方針にまつわる仕事が挙げられる。同時に危機対応など断固たる行動を必要とする仕事がある。

 

「そこには遠い将来に関わる仕事もあれば、すぐに解決しなければならない問題もある。しかも明日の事業は、昨日の事業はもとより、今日の事業とさえ一緒にしてしまったら、何もできなくなる。」(『現代の経営』)

 

ドラッカーは、ある企業のトップマネジメントがドラッカーにトップとして必要な3つの気質、「考える人」「動く人」「顔になる人」について、一人の人間が同時に兼ね備えることなど考えられないと言う。しかし企業の成功にはこれら3つの気質がすべて必要だ。

 

「したがって、結論は一つしかない。ごくごく小さな事業を除くあらゆる事業において、CEOの仕事は、一人の仕事として組み立てることは不可能だということである。それは、共同して行動する数人からなるチームの仕事として組み立てる必要がある。」(『現代の経営』)

 

この結論には2つの利点があるとドラッカーは述べる。

 

第一の利点は、CEOの孤立化という問題の解決だ。

 

「大企業、中小企業を問わず、CEO...

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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