2022/09/29
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敏腕キャピタリストの着眼点
第31回
ココナラ創業者がセオリー無視のVCを立ち上げた理由。【前編】
- 経営
- 組織
- 南 章行氏 ココナラスキルパートナーズ(CSP) 代表取締役
現在会員数が300万人弱に及ぶ、 スキルを売り買いできる日本最大級のスキルマーケット「ココナラ」を2012年に立ち上げた、南章行氏。2021年3月に東証マザーズ(現・グロース市場)に上場を果たすと、その1年後、ベンチャーキャピタル「ココナラスキルパートナーズ(CSP)」の設立を発表しました。
CSPはローンチからわずか半年で10億円を集め、スタートアップ17社に投資をするなど、大きな注目を集めています。その独自戦略について、南氏に話を聞きました。前半は、スキルマーケット「ココナラ」を立ち上げるまでの軌跡です。
「リストラされる人を救わねば」と銀行へ
川内 今年2月、ベンチャーキャピタル「ココナラスキルパートナーズ」を設立されました。その経緯や現状をお聞きする前に、これまでの歩みを振り返っていただければと思います。南さんは慶応義塾大学卒業後の1999年に住友銀行(現三井住友銀行)に入行していますが、志望動機は?
南 実はずっと三井物産 に入りたかったんですよ。高校2年のとき、自分なりに世の中の仕事をいろいろ調べて、「商社ってダイナミックで面白そうだな」と思って。商社のなかでも三井物産 が自分に合っていそうな気がしたので、大学も学部も、卒業生が三井物産 でたくさん勤めているという理由で、慶応の経済学部 を選びました。
川内 そうなんですね。それがなぜ銀行へ?
南 バブルが崩壊してからどんどん社会が不穏な雰囲気になっていて、1997年に山一証券が廃業しましたよね。山一証券に就職した先輩がいたから、当時彼女だったいまの妻と一緒にそのニュースを観ながら、「いい大学を出て、真面目にやってても、いきなり会社ってなくなるんだ。これから日本はえぐい時代に入っていくんだな」と思ったことを、いまだに憶えています。
そのときに、先輩みたいな人やリストラされる人を「救わねば」と思ったんですよね。そのためには、企業を良くして、働き方を変えるようなことがしたいと思いました。それで、企業再生の実績があった住友銀行に就職したんです。
川内 住友銀行で約5年働いた後、2004年1月に企業買収ファンドのパイオニアであるアドバンテッジパートナーズに転職されています。
南 住友銀行では調査部に配属されたのですが、当時の主な仕事は金融庁や日銀に対して「自分たちの融資先はまともです」という資料をひたすら作ることでした。大企業の再生案に携わることもありましたけど、もうちょっと小さい会社で手触り感ある形でやりたいなと。
そのタイミングでアドバンテッジパートナーズのことを知って、働い...
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