TOP スペシャルコラムドラッカー再論 マネジメントの理念、マネジメントの適性。

2022/09/05

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スペシャルコラムドラッカー再論

第333回

マネジメントの理念、マネジメントの適性。

  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

 

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当然のことながら、昇進・昇給、あるいは降格・解雇の決定、業務範囲に関する決定は、それが適用される当人にとって死活問題である。それがゆえにそれらの決定は、一人の人だけの判断に委ねられてしまうにはあまりに重大であり危険だ。

 

「人事異動の対象となった経営管理者は、誰が決定を行ったかを知らされる必要がある。逆に、自分がそれらの意思決定を行うときには、誰と相談すべきかを知る必要がある。また、自分の仕事に関係のある意思決定が、誰かの恣意や判断の間違いによる影響を受けないようになっていることを知る必要がある。そして意義を申し立てる権利を持つ必要がある。」(『現代の経営』、1954年)

 

自分自身の処遇や自身の管轄業務に関する重大な決定についてトップマネジメントに直接訴えることができる仕組みがあることは、マネジメント全体に対して強い影響を与え、決定を行う経営管理者はより慎重にことを検討せざるを得なくなり、部下たちも偏見やばかげた判断の犠牲にならずにすむようになっていると感じることができる。

 

ドラッカーは更に、次のように述べている。

 

「それらの防止策よりも、マネジメントが正しい組織の文化を確保しようとしていることを示す行動をとるほうが、はるかに重要である。そのための簡単な方法は、全ての経営管理者に対し、次のようなメッセージを伝えるような行動をとることである。」(『現代の経営』)

 

<組織の文化は組織全体の問題である。自らが率いる部門において、優れた組織の文化をつくるために何をしているかを考えてほしい。また、自らが属している上位の部門において優れた文化を生むために、上位の部門全体のマネジメントが何ができるかを教えて欲しい>

 

このように、一人ひとりの経営管理者とその上司の行動について、常時点検させることが効果をもたらすとドラッカーは言う。
確かにこれが常時徹底できれば、トップマネジメントが口先だけでなく本気で良い組織文化を築こうとしていることが全社に伝わり浸透し、望ましい組織文化を築こうという意欲が一人ひとりに生まれるだろう。

 

「組織の文化に関わることはすべて、意欲と決意が大きな意味を持つ。ダイナミックな成長のほうが、静的な完璧さよりもはるかに意味がある。」(『現代の経営』)

 

さらには、いかなる仕組みを作ろうとも、マネジメントへの昇格人事で日頃言っていることを反映させなければ、優れた組織の文化を作ることはできないとドラッカーは断言する。

 

「本気であることを示す決定打は、人事において、断固、人格的な真摯さを評価することである...

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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