2022/05/19
1/2ページ
ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第130回
「企業力格差」はモチベーションに起因する
- キャリア
- ビジネススキル
- 松岡 保昌氏 株式会社モチベーションジャパン代表取締役社長
だからこそ、どんなときに社員の「やる気」が下がるのかを知ること。まず、これを知らないとはじまりません。そして当然ですが、その改善策も知ってください。実行すれば、あきらかに職場の雰囲気が変わりはじめるでしょう。
「事(タスク)」と「人(マインド)」の両輪のマネジメント
では、どんなときに社員は「やる気」を失っていくのでしょうか?それは、周囲からの心ないひと言だったり、個人としてしっかり認めてもらえなかったり、評価が納得いかないものだったり……。結局、「人の気持ち」を理解していないからこそ生まれる対応や制度に起因していることがほとんどです。
「うちの会社は人を大切にしている」と言いながらも、実際のマネジメントは、果たさなければならない「事(タスク)」ばかりを見て、それに取り組んでくれている目の前の「人(マインド)」を見ていないということも多々あります。
管理職が、メンバーのことを心のどこかで「事(タスク)」を達成するための道具だと思っているケースもそうです。マネジメントにおいては、「事(タスク)」だけではなく、何よりも「人」が重要です。そんなことは当たり前と思うかもしれませんが、実際は、「事(タスク)」中心でマネジメントをしていることが多いのです。
「このプロジェクトを成功させるためには、誰が何をするのか」
「今期の売上目標を達成するために、誰がどれだけ売上を上げていくのか。そのために、今、何をするのか」
「今のチームに欠けている○○という役割を担えるのは、アナタしかいない。そのためにこの研修を受け、成長していってほしい」
これらは全て、「事(タスク)」中心のマネジメントです。
「事(タスク)」の完遂が重要なので、人に何をやってもらうかを決めて動かしているだけです。そこでは「子どもの発熱で休む」などをはじめ予定外の「休み」はその計画を阻害するもの、周囲の足並みを乱すものとして歓迎されません。
一方、「人(マインド)」のマネジメントは、その人の置かれた状況や気持ちを理解することからはじまります。
【子どもが熱を出して今日は休んだ】
↓
【子育てで大変ななか、頑張って仕事をしてくれている】
↓
【子どもも仕事もどっちも気掛かりで、大変な思いをしているに違いない】
↓
【まずは、ねぎらいの言葉をかけよう】
↓
【子どもの急な発熱にも対応できるような働き方・仕組みを一緒に考えてみよう】
このように「人(マインド)」に目を向けると、対応が変化していくはずです。すぐには働き方や仕組みを変えることができなかったとしても、【大変な状況のなかで、それでもわが社で頑張って仕事をしてくれている】という感謝の気持ちを持ち、その感謝が伝われば、社員の組織への信頼感が高まるはずです。
これまで多くの企業のコンサルティングをして思うのは、「人のマネジメントを、勘と経験だけで行っている管理職やリーダーが多すぎる」ということです。人のマネジメントは、きちんとしたスキルなのです。意識して、学んで身につけるべきものなのです。
そして私は、人も、企業も、それぞれの価値を大事にしながら、WIN-WINの関係が実現できる「人と企業の価値の交換」が重要だと考えています。どちらか一方が、自分の価値を押しつけるのではなく、互いに尊重し合い、ともにプラスになる。そのような立場に立ったマネジメントを実現してほしいと切に願っています。 他の記事も読む。60秒で簡単無料登録!レギュラーメンバー登録はこちら >
■書籍情報
こうして社員は、やる気を失っていく 単行本
著者:松岡 保昌
出版社:日本実業出版社
価格:1,760円(税込)
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
Copyright(C)ITmedia,Inc. All Rights Reserved.