2022/04/20
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イマ、ココ、注目社長!
第227回
現実世界をデータ化し、ソフトウェアで扱えるようにする。【後編】
- 経営者インタビュー
- 経営
- 組織
- 注目企業
- Idein株式会社 代表取締役 CEO 中村 晃一氏
2015年創業のIdein(イデイン)は、IoTプラットフォーム「Actcast」を開発・運営するスタートアップです。「Actcast」は、カメラやセンサー類にAIを搭載した「エッジAI」で画像や音声など多様なデータを収集、ディープラーニングで処理・解析するエッジコンピューティング技術を採用。機器類もデータ転送コストも安価で、プライバシー・機密情報の漏洩リスクが低く、さらに柔軟に変更できるアプリが特徴の、PaaS (Platform as a Service)です。
Idein創業者の中村晃一さんは、東京大学大学院のコンピュータ科学専攻博士課程を中退して起業を志しました。しかし、その関心のありかは幼少時から現在まで一貫しているようです。学問の世界からビジネスの世界に転じた理由、企業家としての今後の展望について伺いました。
画像認識や機械学習の進化で「現実世界をデータ化」する夢の実現が視野に
――御社の事業にもつながる、機械学習に関心を持たれたのはいつ頃ですか?
中村 ディープラーニングという技術が登場したのが2012年で、当時から注目はしていました。その頃はまだアカデミア周辺で話題になっていたぐらいで、一気に実用化が進んだのが2014年頃だったと思います。
――2010年代後半から一般化してきたように記憶しています。御社の取り組みも影響を及ぼしたのでは?
中村 そうですね。ただ、私の興味の中心は機械学習そのものではないんです。もともと天文学を志したのは、世界の動きをデータ化して、シミュレーションして調べるという分野に興味があったからです。機械学習は、データ化のための格好のツールです。画像認識技術や機械学習の登場によって、現実世界そのものをデータ化できる可能性が見えてきた。分野は変わりましたが、実世界をデータにしてシミュレートしたいという欲求が湧き上がってきました。だから、事業を興そうと思ったんです。
――なるほど。中村さんの関心は一貫しているわけですね。しかし、研究ではなく起業を選んだ動機は何だったのでしょう。
中村 先ほどお話しした、学際研究の経験が影響していると思いますね。そこでは、議論の中から仲間が集まってプロジェクトを始める、という動きが自然に起きていましたし、自分でも、いくつか立ち上げました。ずっと思い描いていた「現実世界をデータ化する」夢が実現できるかもしれない、となったとき、手段として起業を選ぶのは、私にとっては自然なことでした。どこかの企業に所属してできるとは思えなかったし、...
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