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2022/04/11

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エグゼクティブ転職 経営者JP井上の視点

第45回

あなたが求められ続けるための「3つの提供価値」から転職を考える

  • 転職
  • キャリア
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上 和幸

私たちの仕事は「3つの提供価値」から成り立っています。それは「エンタテインメント」(楽しませるためのもの)、「教育」(知識や方法論を教えるもの)、「アウトソーシング」(仕事を代行するもの)の3つです。あらゆる仕事は、この3つのうちのいずれか、もしくは幾つかの組み合わせに分類されます。
あなたが仕事において提供できる価値、提供したい価値は、この3つのうちのどれなのかを明確にして転職活動に臨むと、手応えが大きく変わるでしょう。

 

変わりゆく業界ごとの提供価値

私たちの仕事は「エンタテインメント」「教育」「アウトソーシング」の3つに分類されます。
分かりやすくは、観せる(魅せる)仕事である音楽・映画・スポーツなどの「エンタテインメント」業界、学校やスクールから資格や実技を教える「教育」業界、営業代行・家事代行から各種の業務を内部に代わって支援する「アウトソーシング」業界。

 

単一のものだけでなく掛け合わせになる業種・職種も多く存在します。例えば農業や漁業は我々に代わって食べ物を収穫してくれる「アウトソーシング」であり、豊かな食の提供という観点では「エンタテインメント」にも類するところもあります。自動車メーカー自体は移動する手段の提供という意味では「アウトソーシング」的でもありつつドライブの楽しみという点で「エンタテインメント」業でもある。その中で働く工場のライン工は「アウトソーシング」、研究者は「教育」的側面のミッションを強く持つ人もいらっしゃればより実務的な部分で「アウトソーシング」に近い役割の人も存在します。

 

転職という観点から、幾つか例を挙げてみましょう。

 

ご存知の方も多いかと思いますが、この10〜15年ほどで、コンサルティング業界は、総じて「教育」価値よりも「アウトソーシング」価値に比重が上がっています。
コンサルタント職とは本来、高度な「教育」(知識や方法論を教えるもの)職に該当します。企業の実業に対して外部がアドバイスするには「社内よりも専門性の高い知識やスキルを持っていて、それを社内でラーニングしたりナレッジ蓄積するよりもコストパフォーマンスが高いこと」が条件でした。

 

ところが今や、戦略であれマーケティングであれファイナンスやセールスであれ、方法論はコモディティ化しており、千数百円〜数千円、高くても数万円を出せば書籍やオンライン学習ツールで手に入ってしまうようになりました。
また、これまではその方法論の購入自体に価値を感じてくれる向きがありましたが、今や「その上で実行した結果が全て」。戦略や方法論だけを買ってくれる顧客は消失しつつあります。戦略ファームであっても、戦略提案だけではなく、クライアントのプロジェクトに参画して実行の実務を手伝う(「アウトソーシング」)ことで初めて対価を得られるようになっています。

 

SaaSベンダーは、第一義にはクライアント企業の会計や人事労務管理、最近ではデジタルでの契約管理など、業務上は「アウトソーシング」ニーズに応えていますが、顧客が価値を感じ継続率が高いのは、提供サービスを通じて支援業務に関して実務管理ノウハウ(「教育」価値)を提供してくれるところです。

 

同一職種でも、求められる提供価値が今後激変する予感

ひとつの予見として、これから戦略策定と戦略実行サポートの部分にAIが侵食してくると思われます。現時点ではデータマーケティング分野などが主流ですが、戦略フレームワークをその企業や事業の状況、課題に適した形でどう使えば良いかを提案するAI、クライアント企業の事業情報、経営情報を解析した上で、もっとも望ましいと思われる戦略案を提示するAIなどが数年内に出現し、あっという間に実用化されることでしょう。

 

よって、コンサルティング業務がAIに代替されるのもそう遠くない近未来のことであり、従来型の「本来的な」コンサルタント職ニーズは10年内にはほぼ消滅すると思います。
消滅後に残るものは、コンサルティングというよりは基礎教育や研修のような類だと思われます。これまでコンサルタントに支払ってきたような高額な報酬は成り立ちようがありません。

 

これは営業職やマーケティング職についても同様に言えそうです。「営業は足が命」を笑うタクシーの車内CMが少し前に流れていましたが、営業もフィールドセールスからインサイドセールスヘ。戦略的マーケティングはデジタル主体でマーケティングオートメーションの導入・運用へと主軸が移行しています。
戦略的なことはAIが行い、人がやるのはそこで出された指令のうち、デジタルには乗らないライブ、生身の人が動かざるを得ない部分の実行、というような役割分担がすぐ目の前に迫っているのかもしれません。

 

これからもしコンサルタント職や営業職、マーケティング職が生き残るとしたら、まさに「物理的に動く必要がある部分でのアウトソーシング」と「取引先顧客にコミュニケーションの気持ちよさや楽しさを与えるエンタテインメント」を提供できる人(&企業)に限られていきそうです。
果たしてこれを、いまコンサルティング業界に属している人たちやこれからファームを目指している人たちが「コンサルタント」「コンサルティング会社」と呼ぶでしょうか?

 

何れにしても、コンサルタント職というものが次の10年、生き残るとしたら、中身はこれまでとは全く違う人種の集団となることは間違いありません。営業職やマーケティング職についても同じく、これまでの職務定義や業務内容で捉えていると、これからの職種ニーズにはミスマッチな人材となってしまうでしょう。

 

*   *   *

 

さて、では、あなた自身の業務における提供価値的強み・差別化ポイントは、「エンタテインメント」か、「教育」か、「アウトソーシング」か。3つの側面における強みを意識し、そこを面接時にもしっかり表現すると、応募先企業のあなたの見方がちょっと変わることでしょう。
このことに自覚的であり、それを軸に今後の職務ニーズや業界展望などを加味してご自身のキャリア展開を考え動いていくことが、あなたがこれからも求められ続けるための必勝法となるのです。

 

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この記事は、「RECRUIT DIRECT SCOUT『経営者JP井上の視点』」の連載から転載したものです。
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プロフィール

  • 井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。