TOP ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術 40代 「進化するチーム」のリーダーは部下をどう成長させているか

2022/03/24

1/2ページ

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術

第127回

40代 「進化するチーム」のリーダーは部下をどう成長させているか

  • ビジネススキル
  • キャリア
  • 作家 中谷 彰宏

 

60秒で簡単無料登録!レギュラーメンバー登録はこちら >
 
 
リーダーの役割は、チームを強くすることではなく、自ら進化するチームを作ること。どうすればいいのか。

 
1対多から、1対1の関係に。勤務時間の長さで評価できない時代に

強いチームは、チームが自ら進化するチームです。
 
リーダーの役割は、チームを強くすることではありません。自ら、進化するチームを作るのが、リーダーの役割です。
 
新しい時代になって居心地が悪いのは、顔を合わせる機会が少なくなったことです。
 
つながりの希薄感が生まれたのです。これはリーダー側にも、現場のスタッフや部下の側にもあります。
 
より不安を大きく感じているのは、今まで顔を合わせて部下を見張っていたリーダーの側です。上司は、「リモートワークで部下は本当にきちんと仕事をしているのか」と心配します。

今まで部下が遅くまで会社に張りついていたのは、「上司がいるところにいないと、自分が仕事をしていないと思われるんじゃないか」という不信感があるからです。
 
両者の不信感がベースにあるのです。
 
結局、働き方改革とは時間の捉え方の改革です。労働時間でその人の働きを評価する時代が、終わりました。今まではアルバイトから正社員になり、時給から給料になっても、「何時間で」という時給と同じ感覚で仕事をしていました。
 
本来、付加価値を生み出す仕事に関しては、「何時間働いたから」というのは関係ありません。
 
アーティストの芸術作品で、「この作品に何時間かけたんです。だから評価してください」と言うのはおかしいです。お医者さんが手術をする時に、「この手術は何時間かけたからいくらです」と言い方はヘンです。
 
むしろ時間がかかるのはマイナスです。
 
荷物を運ぶ時は、時間を短くすると値段が高くなります。電車で言うと、特急料金がかかるのは速いからです。「長くかかった分、料金を多くいただきます」というのは逆の考え方です。
 
時間に対しての捉え方が変わったのが、働き方改革なのです。今まで時間しか軸がなかったのは、会社にいる人たちが全て同質な存在だったからです。同質の人がいる場合においては、みんなが同質の働き方をしています。その人たちを評価する時は、長い時間働くと「あの人は頑張っているね」となります。
 
付加価値を生み出す異質の人たちが集まってチームになると、同じ時間で評価することはできなくなります。「何時間残業したから」という評価がなくなってしまったことが、今、働く現場での居心地の悪さになっています。
 
結局、リーダーと部下の関係が、1対多から1対1に変わったのです。それによって、一人一人の部下に対して、評価する基準や育成する基準、接し方も変わります。リーダーは一人一人の部下に対して接し方を変える必要があります。新しい時代は、1対多の部下との接し方では通用しません。
 
会社に来たい人もいれば、会社に来たくないという人もいます。リーダーは、それぞれの部下に対して違う接し方をすればいいのです。

 
変えていいのは、手段。変えてはいけないのは、目的。

時代が変わる時に、リーダーが変えていいのは手段です。変えてはいけないのは、目的です。これを逆にしないことです。
 
例えば、「こういうことをわれわれはチームの中でしていこう」という会社の目的があります。そこで、「密になってはいけないから、コミュニケーションをとるのもリモートでしましょう」と言うのは、手段を変えているだけです。
 
「何もできなくなった」ということはありません。今までの手段がとれなくなったのが、今の時代です。特に変革が起きた時は、「AがダメならB」「BがダメならC」という形で手段を変えます。
 
間違ったやり方は、1つの手段がとれなくなった時に目的を変えることです。1つの手段にこだわり、「その手段でできる目的は何か」と、目的を変えていこうとすると、軸がブレブレになります。
 
軸は、手段ではなく目的にあります。
 
リーダーは「手段のプロフェッショナル」であることが求められます。プランAがダメならプランB、プランC……と、どんどん切りかえていけるのがプロフェッショナルです。
 
例えば、映画の話をしたい時に、
 
「○○という映画を見た?」
 
「それ見てないんですよ」
 
「この話をしたいんだけど、見に行ってもらわないと困る」と言ってしまうのは、映画のプロではありません。
 
「じゃ、どんな映画を見た?」
 
「○○という映画です」
 
「じゃあ、その映画の話をしよう」と対応できるのが、映画のプロです。
 
「どこのホテルに行けばいいですか」と相談された時に、「○○のホテルがいいよ」とすぐ答えるのは、ホテルのプロではありません。自分の好きなことを言っているだけだからです。
 
「どういう目的で行くんですか」と聞くと、
 
「サービスの勉強に行きたい」
 
「リラックスしたい」
 
「発想を手に入れたい」と、これだけで3つに分かれます。
 
それぞれの目的に合わせて、
 
「サービスの勉強をしたいなら○○のホテルがいいですよ」
 
「リラックスしたいなら、△△のホテルがいいですよ」
 
「発想を身につけたいなら、××のホテルがいいですよ」と、手段を変えていけるのが本当のプロフェッショナルです。
 
大体しくじるのは、自分の中で手段と目的の区別がつかなくなる人です。往々にして起こりがちなのは、いつの間にか手段を目的と勘違いすることです。

1

2

プロフィール

  • 中谷 彰宏

    作家

    1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。 【中谷塾】を主宰。セミナー、ワークショップ、オンライン講座を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。 著作は『一流の人は、教わり方が違う。』(河出書房新社)など、1090冊を超す。