TOP スペシャルコラムドラッカー再論 「われわれの事業は何になるか」「われわれの事業は何でなければならないか」。

2022/01/31

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スペシャルコラムドラッカー再論

第302回

「われわれの事業は何になるか」「われわれの事業は何でなければならないか」。

  • マーケティング
  • イノベーション
  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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前回まで数回に渡り、「われわれの事業は何か」という問いを起点に幾つかの確度から見てきた。これは「現在」に関する問いである。
しかし、これだけでは充分とは言えない。「われわれの事業は何になるか」についても問いを発しなければならない。「未来」に関する問いである。
そしてそれに答えるには、次の4つのことを明らかにすることが必要だ。

 

「第一に、市場の潜在的な可能性と趨勢である。」(『現代の経営』、1954年)

 

市場や技術に大きな変化がない場合に、5年後、10年後、我々の事業はどこまで成長拡大することができるか、それを期待できるか。それを決定づける要因は、何か?

 

「第二に、経済の発展、流行や好みの変化、競争の変動による市場の変化である。」(『現代の経営』)

 

ここで言う「競争」とは、製品やサービスについての顧客の定義に基づく競争を指しているのであり、直接的な同業種での競争だけでなく、いわゆる異業種間競争も含まれていることを念のため認識しておきたい。

 

「第三に、顧客の欲求を変化させ、新しい欲求を創造し、古い欲求を消滅させるイノベーションの可能性である。さらには、顧客の欲求を満足させる新しい方法を生み出し、価値のコンセプトを変え、より大きな満足を可能とするイノベーションの可能性である。」(『現代の経営』)

 

これはあらゆる産業にある企業各社が検討しなければならないことだ。技術のイノベーションは、製造業のみならず流通・サービス業、金融業、運輸業、人材業やコンサルティング業においてさえ起こる。
しかもイノベーションは、事業にとってマーケティングの目標を達成する手段であるばかりでなく、それ自体、事業が目的とし、かつ逆に影響を受ける、ひとつのダイナミックな力である。

 

「第四に、今日のサービスや製品によって満足させられていない顧客の欲求である。」(『現代の経営』)

 

通常、自らの力によって成長していく企業と、景気や業界の上げ潮に乗って成長するだけの企業の差をもたらすものは、この問いを発し答える能力の有無だとドラッカーは指摘する。
単に上げ潮に乗って成長することに満足する企業は、やがて引き潮とともに衰退していく。

 

さて、これで「われわれの事業」についての分析がすべて終わったわけではない。
次に、「われわれは正しい事業にいるか」「われわれの事業を変えるべきか」を問う必要があるとドラッカーは言う。

 

「もちろん、意図してではなく偶然新事業に参入する企業も多い。しかし、たとえ偶然にせよ、自らの労力と資源を新...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。