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2021/12/06

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スペシャルコラムドラッカー再論

第295回

起業家的な2つの機能とは。

  • マーケティング
  • イノベーション
  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

 

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「企業の目的が顧客の創造であることから、企業には2つの基本的な機能が存在する。」(『現代の経営』、1954年)

 

ドラッカーファンなら、おそらく多くの方が記憶されているであろう名口調。そう、この続きは、ご存知、

 

「すなわち、マーケティングとイノベーションである。この2つの機能こそ起業家的機能である。」(『現代の経営』)

 

だ。

 

ドラッカーは、マーケティングは企業に特有の機能だと言う。
財やサービスを市場で売ることこそが、企業を他のあらゆる人間組織から区別する。公共機関、教育機関、あるいは軍、教会(日本ならお寺や神社か)、更に国家そのもののいずれも、そのようなことはしない、と。

 

「財やサービスのマーケティングを通して自らの目的を達成する組織は、すべて企業である。逆に、マーケティングが欠落した組織やそれが偶発的に行われるだけの組織は企業ではないし、企業のようにマネジメントすることもできない。」(『現代の経営』)

 

ちなみにドラッカーによれば、マーケティングを企業に特有の中心的な機能としてとらえ、顧客の創造をマネジメントに特有の仕事ととらえた最初の人は、マコーミックハーベスターマシンカンパニーを設立した社のサイラス・マコーミック(芝刈り機を発明し「現代農業の父」と呼ばれた)だそうだ。
1850年にマコーミック氏は市場調査、市場分析を行い、市場地位のコンセプト、価格政策、技術営業やアフターサービス、更には割賦販売を発明した。
アメリカを始め、先進国各国の企業がこれらのことを行うようになったのは、その50年後の1900年頃からだという。

 

1900年以降のアメリカ経済の革命は、マーケティング革命だった。
だが、当時のマーケティングについての典型的な考えとは、「工場が生産したものを販売する」だった。それがその更に50年後には、「市場が必要とするものを生産する」に変わった。

 

「マーケティングの重要性を完全に理解できるようになるには、販売を寄生的なものと見、生産を紳士的なものと見る偏見、およびそのような見方の結果としての、生産を事業の中心的な機能とする誤った理論を超克しなければならない。」(『現代の経営』)

 

マーケティングは企業にとって、あまりに基本的な活動だとドラッカーは言う。

 

「そのため、強力な販売部門を持ち、そこにマーケティングを任せるだけでは不十分である。マーケティングは販売よりもはるかに大きな活動である。それは専門化されるべき活動ではなく、全事業に関わる活動である。」(『現代の経営』...

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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