TOP 社長を目指す方程式 部下の力を無限大に発揮させる デキる人材へ「7つのステップ」

2021/10/22

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社長を目指す方程式

第76回

部下の力を無限大に発揮させる デキる人材へ「7つのステップ」

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今回の社長を目指す法則・方程式:クリスト・ノーデン=パワーズ「エンパワーメントの7つの手順」

 
上司の役目は、一人ではできない仕事をチームで成し遂げることです。そのために部下に仕事を任せつつ、全体の管理を行うことが主な役割となります。「権限委譲」、英語でいえば「デレゲーション」。いかに上手く部下たちに権限を渡して動いてもらうか、読者の皆さんも日々工夫されていらっしゃることと思います。
しかし実は、それだけでは部下たちを効果的に動かすには足らないのです。今回は、権限委譲を通じて部下たちの力を最大限に発揮させる方法をご紹介します。キーワードは「エンパワーメント」です。

正しい権限委譲は「丸投げ」と「マイクロマネジメント」の間に

そもそも、権限委譲とはどのようなことでしょう? 正しい権限委譲とは、範囲を明確にし、ゴールを達成するための一式を託すことです。「任せる範囲を明確に決め、伝えている」ことと、「ゴールを達成するための一式を託している(任せている)こと」の2つが満たされているのが権限委譲なのです。

 

権限委譲で両極にあるのが「丸投げ」と「マイクロマネジメント」ですが、正しい権限委譲はどちらでもなく、両者の“中間”に位置づけられています。まずはそのことを意識していただくと、上司の皆さんにとっても仕事が進めやすいかと思います。

例えば、職場で以下のような会話はありませんか?




部下「この件、どこまでやればよいでしょうか?」

上司「任せたから好きにやっていいよ」




部下「これで間違っていないでしょうか?」

上司「いいんじゃない」




たとえ部下のやる気と主体性を尊重したかったとしても、これでは権限委譲ではなく丸投げですね。「任せる範囲を明確に決め、伝えている」かどうかが、正しい権限委譲と丸投げの境界線です。

一方、次のような言葉を投げかけている上司の方もいるかもしれません。




「あー、ほらダメダメ。そのやり方じゃあ、絶対に失敗するぞ」

「前回のプレゼンあっただろう。あの時のパワポ資料の通りに今回のも作ってね」




上司としては、部下に具体的にやり方を教えてあげたい、失敗させるのはまずい。そんな親心を抱くこともあるかもしれません。あるいは「部下より自分の方が優れている」「細かいところまで自分の考え、やり方で通したい」という、悪質ともいえる<幼いプライドやエゴ>がぬぐいきれていないケースも考えられます。

 

いずれにしてもこれは権限委譲ではなく、マイクロマネジメントです。デレゲーションとは本来の意味は「遠くへ代表団を派遣すること」。いったん送り込んだら、自分の目や手の及ばないところに派遣しているので、任せ切り、遠くから応援・支援するしかないのです。「ゴールを達成するための一式を託している(任せている)」かどうかが、権限委譲とマイクロマネジメントの境界線です。

 

権限委譲だけでは足りない? エンパワーメントの真の効力

正しい権限委譲について確認しましたが、今回のテーマは「権限委譲だけでは足らず、エンパワーすることが理想的である」です。どういうことか?

 

権限委譲は、大前提として縦の関係(上下関係)の元で行われる行為であるのに対して、エンパワーメントとは横の関係と言ってよいのではないかと思います。

 

エンパワーメントとは、チームメンバーに自律的に行動する能力を与え、独り立ちすることを助けることを意味します。『エンパワーメントの鍵「組織活力」の秘密に迫る24時間ストーリー』著者のクリスト・ノーデン=パワーズは、エンパワーメントとは「自ら行動ができるようにパワーを解き放つこと」だと言います。上司はエンパワーする(部下の能力を開花させる)ことで、部下たちを管理・支配するよりも、はるかに大きな「組織力」とも言える力を手に入れることができるのです。

 

エンパワーする上司は部下たちに対して目標を明確に示します。ここは権限委譲と同じですね。その上で、目標を自分で達成できる能力と意欲を与えるのがエンパワーメントです。いわば、権限委譲は「セットアップ(お膳立て)」の段階を指しますが、エンパワーメントは「実行能力の提供(レッドブル的に言えば翼を授ける」を意味します。権限を与えた上でエンパワーすることで、はじめて部下の能力が発揮され、最強のチームへと進化するのです。

 

パワーズはその手順として、次の7つのステップを挙げています。

 

(1)信頼関係の構築

 

(2)不満点の明確化

 

(3)望むことの明確化

 

(4)実現方法の考察

 

(5)行動の選択

 

(6)手順の見極め

 

(7)コミットして実行

 

この7ステップを見ると、部下たちに任せるものについて「WILL(やりたいこと)」と「CAN(できること)」を満たすことが必要だということを認識できます。こうして、権限委譲とエンパワーメントが、「WILL・CAN・MUST」の<3つの輪>と結びつきました。当連載のバックナンバー「デキる上司は「WILL・CAN・MUST」を駆使して最強チームを作る」(https://bit.ly/3DDd9GE)もぜひ合わせてお読みいただければと思います。

 

エンパワーメントがうまくいくと、あなたのチームはメンバーたちの主体性とやる気で活性化し、あなた自身のリーダーシップも自然なかたちで効果的に発揮される状態となるのです。

 

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社長になる上司は、気持ちよく人に仕事を頼み、動かす力を持つ人です。依頼における「効果的アプローチ」と「落とし穴」とをしっかり把握しておきながら、日々のマネジメントにおいて、大いに様々な人たちからの助けを受けてビジネスを進めましょう。  

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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