TOP スペシャルコラムドラッカー再論 「専門技術戦略」で勝負すべきタイミング。

2021/09/06

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第282回

「専門技術戦略」で勝負すべきタイミング。

  • イノベーション
  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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主要な自動車メーカーの名前を知らない人はいないだろう。しかし、その自動車の電気系統システムを供給する部品メーカーの名前を知っている人は、おそらく多くはないだろう。
同様のことは、多くのメカトロニクス系、ITインフラ系、あるいは高度な集積技術を要するコンシューマー系のハードウエア製品で言えるに違いない。
これらの事業、製品を支えるパーツメーカーは、市場出現の早期に優れた技術を開発することによって生態学的なニッチにおける支配的地位を獲得し、以降それを維持することが多い。

 

「これらの部品メーカーは、その専門技術によってあまりに先行しているために、ほかの企業にとっては挑戦する価値がなくなっている。これらの部品メーカー自体がすでに技術の基準となっている。もちろん、専門技術によるニッチ戦略は製造業に限定されることはない。」(『イノベーションと企業家精神』、1985年)

 

ドラッカーはこれを「専門技術戦略」と呼ぶ。専門技術戦略もニッチ戦略の一つだ。
専門技術戦略は何よりもタイミングが決め手である。新しい産業、新しい習慣、新しい市場、新しい動きが生まれる揺籃期に開発を着手し「**インサイド」を最初に獲得しなければならない。

 

「専門技術によるニッチ市場が偶然見つかることはあまりない。イノベーションの機会を体系的に探すことによって初めて見つけられる。企業家は支配的地位を得られそうな専門技術が開発できる分野を探す。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

したがって、この戦略の条件の第一は、新しい産業、市場、傾向が現れたならば、できるだけ早く専門技術による機会を体型的に探さなければならない。なせならその専門技術を開発する時間が必要だからだ。
いま、この開発競争の真っ只中にいる一例としては、様々な産業にAIソリューションを提供しようとしているスタートアップであったり、CASE、MaaSの世界における技術ベンチャー群だろう。

 

第二に言えることは、独自かつ異質の技術を持たなければならいということだ。

 

「専門技術によるニッチ市場を確立した企業は、顧客と取引先のいずれからも脅威を受けることがない。彼らは、技術的、気質的に異質なものにあえて入り込んでこようとはしない。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

第三に言えることは、専門技術戦略によってニッチ確保に成功した企業は、絶えずその技術の向上に努めなければならないということだ。

 

「常に一歩先んじなければならない。まさに自らの手によって自らを陳腐化していかなければならない。」(『イノベーションと企業家精神...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。