2021/08/19
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第112回
「感情マネジメント」でチームを伸ばす
- キャリア
- ビジネススキル
- 池照 佳代氏 株式会社アイズプラス 代表取締役
(2)選ぶ:理解した「感情」の情報をもとに、よりよい行動を選択する
人は、「感情」に押しつぶされそうになった時、冷静になるためにあえて1人で考える時間を取ったり、相手に理解してもらうためにあえて「感情」をあらわにしたりと、それぞれの方法で気持ちを表現しています。相手のことをもっと知りたい時には、自己開示の率を高くして相手との信頼関係を構築してから交渉をするなどの行動選択をとることもあるでしょう。この一連の取り組みは、「自分の感情」認識をベースに、「ありたい姿」に向けて適切な行動を選択する「感情のマネジメント」にあたります。よく、「感情的な人間はビジネスには必要ない」と言いますが、「感情的な行動をする」ことと「感情を認識して適切な行動をする」ことはまったく別です。EQで目指しているのは、後者にあたります。
(3)活かす:自分の目標を実現するためにより良い関係を築く
「自分の感情」を認識し、それに応じて適切な行動を選ぶことで、目標達成やより良い人間関係の構築につながっていきます。自分やチームの目標や「ありたい姿」の達成は、日々の小さな行動の選択と実行によって作り出されます。この日々の行動を「自分の感情」を受け止めることからスタートし、自分のありたい姿や他者とどのような関係性を築きたいかに合わせて行動を選択し実行する、これがEQの開発なのです。EQは後天的に開発することができます。読み書きを身に着け高め続けるのと同様に、一度習得したものも意識的にトレーニングによって磨き、高め続けることができるのです。
「EQの発揮がリーダーに必要なのは分かるが、なぜ“自分の感情”が必要なのか? メンバーの感情が分かればよいのでは?」という質問をよく受けます。人間は感情の生き物です。それはメンバーも、そしてリーダーである自分自身も同じです。たとえ、職場で感情的な発言をしたり、逆に感情をあらわにしたりするようなことがなかったとしても、人間の行動や言葉を根底で突き動かしているのは「感情」です。「自分の感情」が分からない人に、「他人の感情」を受け止め、共感し、適切に対応することはできません。そのため、私は「感情は経営資源」と捉えています。リーダーとして「感情」に着目し、EQを発揮してチームで成果を創ること、これが経営への大きなインパクトにつながります。
近い将来、リアルな職場であれ、オンラインであれ、“How do you feel? (今、どんな気持ち?)”というあいさつが互いに交わされるようになることは、各組織でEQが発揮されている一つのサインとなります。働く人誰もがまず自分の感情を大切にすることで、「心豊かに働く」ことを実現する、これが私が追求したい「ありたい姿」なのです。 他の記事も読む。60秒で簡単無料登録!レギュラーメンバー登録はこちら >
■書籍情報
感情マネジメント 自分とチームの「気持ち」を知り最高の成果を生みだす 単行本(ソフトカバー)
著者:池照 佳代
出版社:ダイヤモンド社
価格:1,760円(税込)
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
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