TOP 社長を目指す方程式 できる上司の「当たり前の基準」を盗め 達成し続ける人の心理学

2021/06/24

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社長を目指す方程式

第68回

できる上司の「当たり前の基準」を盗め 達成し続ける人の心理学

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  • ビジネススキル
  • マネジメント
 

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今回の社長を目指す法則・方程式:

「アンカリング効果、フレーミング効果、固着性ヒューリスティック」

 
上司の皆さんは日々チームの目標を追い、奮闘されていらっしゃることと思います。昨今は大半のマネジャー職が多かれ少なかれプレイングも求められますから、チームのみならず個人としての目標や数字も必死に追いかけていらっしゃるかもしれません。
目標達成というものはある面、不思議な(興味深い)もので、達成し続ける人は常に達成し続け、未達で終わる人は常にあと一歩に留まる。これは個々人の実力の差なのでしょうか? もちろんそれもありますが、それだけではないメンタリティの側面から「達成の心理学」について紹介したいと思います。

あなたの「単価」に関する当たり前の基準は?

あなたがいま、自社で提供している商品やサービスは、お幾らのものでしょうか? これまでに転職経験や事業部門間での異動経験のある方は、以前は単価幾らくらいの商品やサービスを扱っていましたか?

 

私たちは、誰もがその人固有の<単価の基準>を持っています。1億円の原料をトレーディングしてきた人と、数千万円のプロジェクトを受注してきた人、数十万円の法人向けサービスを売ってきた人、数百円の商品を取り扱ってきた人で、売るものの相場観は自ずと異なります。

 

もちろん額が大きい・小さいに良し悪しがあるわけではありません。いずれであっても、そもそも取り扱うお金のサイズ自体は、その人にいつしか染み付いた相場観となります。

 

例えば、10万円の値引きについて考えてみましょう(あなたが値引く側でも、値引かれる側でも、どちらでも良いのでイメージしてみましょう)。

 

単価千円の商品を扱っており、販売個数が1000個で100万円の商談において、10万円の値引きは非常に大きなものです。血と汗の結晶である1000個のうちの100個分も無料にしてしまうのですから。

 

一方で、1億円の商談で10万円を出精お値引きしますと言われても、ありがたくないとは言いませんが、消費税分にもはるか及ばず、せっかく値引きしたとしても商談に与えるインパクトは微々たるものでしょう。

 

この、同じ10万円が、比較対象となるものによって(100万円と1億円)大金に見えたり少額に見えたりすることを、「アンカリング効果」と言います。

 

私は上司の皆さん(幹部や役員、社長の方々)の転職支援もしていますが、転職の際に、この点は非常に大事なのです。1億円の商いに従事してきた人は、なかなか数百円、数千円を取り扱うビジネスには転身し難く、逆もまた真なり。その理由は、皆さんが知らず知らずのうちに身につけた<単価の基準>の落差には、そうそう対応できるものではないからです。

 

達成の科学・その1は「自分の単価の基準から離れるな」です。

あなたは年間何千万、何億、何十億を取り扱ってきた人でしょう?

あなたの「進捗状況」に関する当たり前の基準は?

上司の皆さんは、常になにがしかの目標数字と実績数字に取り囲まれて仕事をされていますが、その進捗状況の捉え方は人によって異なります。

 

例えば、今月の月間目標が、現時点で50%まで来ました。これには2通りの受け止め方があります。「50%まで達成できた」と、「まだ50%しか達成できていない」。あなたはどちらでしょう?

 

物事の捉え方や表現の仕方によって、その印象が変わることを「フレーミング効果(文脈効果)」と言います。皆さんご存知のところでは、「コップの水があと半分しかない」vs「まだ半分もある」という物の見方の話を聞いたことがあるのではないかと思います。事実はコップの中の水がちょうど半分入っているというだけのことですが、人によって楽観的にも悲観的にも捉えられるという話です。

 

セブン-イレブンの元・会長、鈴木敏文さんがセブンプレミアム「金のシリーズ」を生み出したのは、デフレの時代に6割の人が安い商品を求めているという消費者調査データを見て、「4割は安いものを求めていない(良い商品なら高くても良い)」ということに着眼したからでした。

 

達成癖のある人には、楽観性と悲観的心理がいい具合に共存しています。

先ほどの例で言うと、「よし、これで50%達成できたぞ」という楽観性と、「来週までには80%まで持っていかないと、月末苦しくなる。いま頑張ろう」という悲観的心理・危機感があります。<先行逃げ切りマインドセット>を持つ人が達成する人です。

 

達成できない人の心理は真逆で、「ああ、まだ50%だ。先は長いな、、」という悲観的心理と、「まだ月末までには日にちがある。来週から頑張ろう」という楽観性があります。このタイプは夏休みの宿題を夏休み期間中「明日からやろう」で引き延ばし続けた挙句、8月末になって泣きながら「どうしよう」と親や兄弟を巻き込むタイプですね(笑)。結局、残りの時間ではもうどうにもならないと悟り、ギブアップしてしまうことが多い<先延ばし先送りマインドセット>の人は、なかなか達成とは縁遠い人生を歩みがちです…。

 

達成の科学・その2は、「あなたのフレーミングはどのようなものか」です。

先行逃げ切りマインドセット的でしょうか、それとも先延ばし先送りマインドセット的でしょうか?

 

あなたの「達成確率」に関する当たり前の基準は?

こうしたことの繰り返しで、私たちの心には「達成するのが当たり前」というマインドセットが埋め込まれる場合と、「達成なんてなかなかできるもんじゃない」というマインドセットが埋め込まれる場合とがあります。

 

頭の中で基準となっている数値や情報に強く影響を受けて判断してしまう意思決定プロセスを「固着性ヒューリスティック」と言います。自分の売上額や行動量についての「基準」、固着性ヒューリスティックがどこにあるか、この機会にぜひ確認してみてください。

 

月末、期末に帳尻を合わせようと考える人。下旬に入るまでには達成してしまおうとコミットする人。目標数値まで行けば良いと考える人。120%達成を自主目標とする人。150%、200%を追う人。部内でそこそこ以上に入れば良いと思う人。トップを獲得したいと狙う人。全国1位になりたいと野心を持ち行動する人―。ある意味、スタート時点や途中経過時点での目標の持ち方で、すでに差は生まれており、勝敗も確定しているのです。

 

どうせなら、高業績派のヒューリスティックに寄せる、上書きするなどしてみませんか。「80%を目指している人より、120%、200%を目指している人をベンチマークする」「部内1位より、全国トップ3の人を目標にする」など、比較対象を変えてみるのも良いかもしれません。

 

連続で目標を達成する人が、なぜ達成し続けるのかと言えば、達成を続けている人にとっては、未達成は何としても避けたいことだからです。

 

達成の科学・その3は、「あなたの周囲にいる人たちを変えることで、あなたの『固着性ヒューリスティック』を上書きする」です。

 

類は友を呼ぶと言われるように、できる集団に入ることは大事なのです。いわゆる「進学校効果」ですね。この観点も、転職先を検討する際にひとつの要素としてみていただきたいことです。

 

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過剰な無理は禁物ですが、あなたがどんな「当たり前の基準」を持つか、どんな「当たり前の基準」の集団に身を置くかで、人生は大きく変わります。社長を目指す上司なら、社長レベルまで「当たり前の基準」を上げてみては? 周囲に遠慮は無用です(笑)。  

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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