TOP スペシャルコラムドラッカー再論 ベンチャーマネジメントにおける、市場志向の必要性。

2021/06/21

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第272回

ベンチャーマネジメントにおける、市場志向の必要性。

  • イノベーション
  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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ベンチャーの問題は、事業としてのマネジメントがないことだとドラッカーは指摘する。
いかにアイデアが素晴らしくても、資金を集めようとも、製品やサービスが優れていようとも、需要が多くとも、当然のことながら、事業としてマネジメントされなければそのベンチャーは生き残れない。

 

「ベンチャーにはアイデアがある。製品やサービスがある。売上さえある。時にはかなりの売上がある。確かにコストはある。収入があり利益もあるかもしれない。だが確立された事業がない。永続的な活動としての事業がない。何を行い何を成果とすべきかが明確な事業がない。」(『イノベーションと企業家精神』、1985年)

 

ベンチャーが成功するには四つの原則があるとドラッカーは言う。
第一に市場に焦点を合わせること。第二に財務上の見通し、特にキャッシュフローと資金について計画を持つこと。第三にトップマネジメントのチームをそれが実際に必要となるずっと前から用意しておくこと。第四に創業者たる企業家自身が自らの役割、責任、位置づけについて決断すること。

 

ベンチャーが成功するのは、多くの場合、予想もしなかった市場で予想もしなかった顧客が、予想もしなかった製品やサービスを、予想もしなかった目的のために購入してくれるときだと、ドラッカーは述べている。(そこまで極端に全て「予想もしなかったこと」まみれではなかろうと、私自身は経験上も含めて思うが…。)

 

「したがってベンチャーたるものは、予期せぬ市場を利用できるよう自らを組織しておかなければならない。市場志向、市場中心でなければ、競争相手のために機会をつくっただけに終わる。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

イノベーションを行う者自身の視野は狭くなりがちで、自分が知っている世界しか見えない。外の世界が見えないことが確かに多い。
マネジメントの教科書は、この問題に対する解決策として市場調査を教える。だが、これは間違った処方だとドラッカーは断言する。
なぜなら、新しいものについて市場調査をすることはできず、まだ市場に出ていないものを市場で調査することは不可能だからだ。

 

「したがって、ベンチャーは水というらの製品やサービスが、思いもしなかった市場で思うもしなかった使われ方のために、馴染みのない素人の客によって買われることがあって当然との前提で事業をスタートさせなければならない。市場志向でなければ、生み出すものは競争相手のための市場だけということになる。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

市場志向になることは特に難しいことではない。しかしそのためには、予期せぬ成功や...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。