TOP 私が経営者になった日 【カクイチ 田中社長】自分は何者で 何をしたらいいのかが わからずに悩んできた。(Vol.1)

2021/05/17

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第64回

【カクイチ 田中社長】自分は何者で 何をしたらいいのかが わからずに悩んできた。(Vol.1)

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  • キャリア
  • 経営者インタビュー
  • 株式会社カクイチ 代表取締役社長 田中 離有氏

 

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社長に任命された日=経営者になった日ではありません。経営者がご自身で「経営者」になったと感じたのは、どんな決断、あるいは経験をした時なのか。何に動かされ、自分が経営者であるという自覚や自信を持ったのでしょうか。

 

国内有数のホースメーカーであり、倉庫・ガレージの製造販売、太陽光発電、ミネラルウォーター事業、さらにはAIを活用した農業分野への参入など幅広い事業を展開する株式会社カクイチ 代表取締役社長 田中離有氏に3回にわたってお話をうかがってみました。

 

「自分のためではなく人のため」という名前。

長野で銅鉄金物店として創業して130年の老舗でありながら、ベンチャー企業のように新しいことに挑戦し続けるカクイチ。最近では、AI活用した農業分野への参入や、高齢化社会の課題モビリティを切り口にしたMaaS事業を立ち上げている。

 

まず、このカクイチを率いる田中氏の「離有(りう)」という名前の由来を聞いてみた。

 

「珍しい名前ですよね。私の父がもともと仏教哲学を勉強していて、そうした仏教哲学の思想が込められて付けられた名前です。父は3代目になりますが、商売を継ぐか、学問に行くか悩んだ末に、結婚したくて家業を継いだと聞いています。どうせやるならば、いわゆる学問の世界で学んだ仏教の『人間はこうあるべきだ』と、ビジネスを同時に叶えようと。生き方とはどうあるべきか、働くことはどのようなことなのかということを追求、探求していこうというのが、父の創業時の精神だったようです。」

 

田中家4人兄弟の上の3人の名は仏教書『正法眼蔵』が出典だが、田中氏の名だけ出典がないので意味は定かではないという。

 

「ただ漢文ですから、有ることから離れるとなると、有るというのは恐らく自我であり、欲望であり、煩悩だと思うので、そこから離れなさい、無の境地になりなさいというのが意味なのでしょう。ある面では自分ではなく、人のためにということかと思っていますが、名前は、なかなか体を表さず、結果として父の意に反して、煩悩が百八つとか、九つ、十、百十個ぐらいあるような男になってしまいました(笑)。」

 

父ではなく、怖い社長という存在。

3、4歳 くらいから自宅が社宅となり、最大20人くらいの若い社員たちが家にいた。「社長、社長」と言われている父のもと、田中氏も父ではなく社長の家にいるという感覚でいた。

 

「つねに父親は、勉強しているか、そろばんを叩いているか、電話をしているか、人のことを怒っているか、でした。私は父親が40のときの子なので、怖いとか、威張っているという印象でしたね。さらに11歳上の兄が、そんな父親とぶつかっているようなところばかりを見ているので、末っ子という要領の良さもあり、できるだけ怒られ...

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プロフィール

  • 田中 離有氏

    株式会社カクイチ 代表取締役社長

    1962年、長野県生まれ。慶応義塾大学商学部卒。1990年、米国ジョージタウン大学でMBA取得。株式会社カクイチに入社。2001年、同社代表取締役副社長、2014年、同社5代目として代表取締役社長に就任。カクイチ建材工業(株)・(株)カクイチ製作所・(株)岩深水・(株)シリカライム・アンシェントホテル浅間軽井沢・(株)アクアソリューション・SDGsファイナンス(株)の代表取締役も務める。 カクイチは、1886年(明治19年)創業の老舗企業。ハウスガレージ・樹脂ホース・鉄鋼資材卸業・太陽光発電事業・ミネラルウォーター事業・ホテル事業・内装材事業・農業改善事業の8事業で、11のグループ会社を運営する。現在新たに「社会コストを下げるという志」の元MaaS事業にチャレンジしている。