2021/05/18
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第105回
「グローイング・サイクル」を回すことで組織の全員が戦力になる
- キャリア
- ビジネススキル
そして、その結果をきちっと公正に評価することも不可欠です。その人の良いところを伸ばし、ダメなところを直す。人財育成には、この2つしか方法はありません。その点で評価というのは、その人の良いところ悪いところに直接アプローチするもので、極端に言えば教育をしていなくても評価だけしていれば、育成という目標の半分を達成できるのだと思います。
それほど大事な評価について仕組みによってではなく、経営者が、あるいはマネジャーが「勘」でやっているようなケースもあります。しかしながら、仕組み化された公正な評価がなければ、人は成長しないでしょう。
「評価を上げるために頑張る」を否定してはいけない
育成の50%は「教育」で、50%が「評価」というのが私の考えです。評価という見返りがなければ、人は一生懸命に仕事をすることはありません。やる気が高まるのは、公正な評価があるからこそです。いい評価をされたら人はもっと頑張るでしょうし、評価が悪ければ、次は挽回しよう、と考えるものです。それを一歩進めて考えたときに、私は「評価を上げるために頑張る」ということを否定してはいけないと思います。
「評価されないことは全然やらないんだよね」とマネジャーが愚痴を言うのは間違いです。むしろ評価されないことはしない、というのは自然なのです。その業務をちゃんとやってほしいなら、評価項目に入れるべきなのです。
「お店をきれいにすれば評価が上がるんだな」と分かれば、誰もが清掃を進んでやるでしょう。そのように会社がやってもらいたいことを意識して評価項目を作ることが重要です。命令だけでは人は動きません。
この評価についてもマクドナルドとユニクロは、しっかりマネジメントをしています。働く人はみんな評価を意識していますし、評価を上げるために頑張る、という姿勢で仕事に取り組んでいます。そこには会社として、人の善意に期待してはいけない、という思想があるからでしょう。
採用に苦労しているサービス企業は多いでしょう。人が採れない、ということは「選ばれていない企業」であることを意味します。採用と定着に課題を抱える企業の方は、そのことに気付く必要があります。
人に選ばれる企業になるためには、「人が成長する企業」になる必要があります。優秀な人だけを採用するというのは、どんな企業も望むことだと思いますが、みんなが望むことであるだけに至難の業。人財が取り合いになるからです。
発想を変えて、「入った人を全員育てる」ことを考えるべきではないでしょうか。本書は、そのためのヒントを提供します。
サービス業における人財育成を念頭に置いて書いたものではありますが、実のところ本書で示した育成の方法は、どの業種にも通用するものです。「教育」と「評価」の重要性を認識してグローイング・サイクルを回すこと。それは成長のための普遍的な手法であることを確信しています。 他の記事も読む。60秒で簡単無料登録!レギュラーメンバー登録はこちら >
■書籍情報
全員を戦力にする人財育成術 離職を防ぎ、成長をうながす「仕組み」を作る (日本語) 単行本(ソフトカバー)
著者:有本 均
出版社:ダイヤモンド社
価格:1,650円(税込)
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
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