TOP スペシャルコラムドラッカー再論 企業家精神のための3つの具体的方策。

2021/05/06

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第266回

企業家精神のための3つの具体的方策。

  • イノベーション
  • エグゼクティブ
  • マネジメント
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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既存の企業が企業家精神を発揮することは、一般的にはなかなか難しい。ドラッカーは、マネジメント上いくつかの具体的な方策があるとし、3つ紹介してくれている。

 

「第一に、最も簡単なこととして、マネジメントの目を機会に集中させなければならない。人は提示されたものは見るが、提示されていないものは見逃す。」(『イノベーションと企業家精神』、1985年)

 

しかるに今日、マネジメントに提示されているものはといえば、数々の問題、その中でも特に期待外れの分野の問題だとドラッカーは指摘する。これはすなわち、機会を見逃しているということだ、と。
そもそもはマネジメントに対して機会が提示されておらず、やっていることと言えば、問題のある業績に対してどうするかの討議で定例会議は終了。もちろん問題には注意を払い、深刻に受け止め取り組まなければならない。しかし問題だけを検討していたのでは、機会は無視されたまま消失してしまう。

 

「企業家精神が当たり前となるには、イノベーションの機会に注意を払わせるための特別の仕組みが必要である。報告書には第一ページを2つつけなければならない。ひとつは、これまでと同様、問題を列挙すればよい。しかしもうひとつは、業績が期待や計画を上回った分野を列挙する。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

なぜなら事業における予期せぬ成功は、イノベーションの機会の兆候だからである。予期せぬ成功を調べなければ、企業家精神を発揮することはありえない。

 

「したがって企業家的な企業では2つの会議を開く。ひとつは問題に集中する会議であり、もうひとつは機会に集中する会議である。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

実際にこの2つの会議を実践し20年間で10倍の規模に成長した中堅医薬品メーカーのトップマネジメントは、ドラッカーの取材に対して、自社の成功は主として機会に集中した第二の経営会議によると答えたそうだ。その効果は、じっさいに経営会議で見つけた機会の一つひとつよりも、そこで培われた機会を探す癖がもたらした企業家的な姿勢のほうが大きな意味を持っていたという。

 

「第二に、マネジメント全体に企業家精神を浸透させるため、もう一つ別のことを行っている。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

それは、半年に一度、事業部担当、市場担当、製品ライン担当のマネジメントの人間を4、50人集め、2日間に及ぶ戦略会議を開くことだ。
初日の午前中をかけて過去一年間で企業家的なイノベーションにおいて優れた業績をあげた部門のマネジメントが報告する。特に成功の要因を報告する。何を...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。