TOP ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術 学びを最大化する TTPSマネジメントとは

2021/02/18

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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術

第98回

学びを最大化する TTPSマネジメントとは

  • キャリア
  • ビジネススキル
 

最近はさまざまな情報がWebで検索できます。「Note」や今話題の「Clubhouse」「Facebook」や「LinkedIn」などもあります。私のように書籍を書いている人もいます。そのような人にアクセスする難易度は昔に比べると、極めて低くなってきています。仕事上のネットナンパできるかどうかは、有効な情報にアクセスするための必須スキルの一つだと思います。

 

目を社内に向けると、会社によってはタレントマネジメントを行っているケースもあるでしょう。この事は、この人に聞け!という個人別の仕事上の特技や経験などをデータベース化しているケースです。このようなデータベースが社内にあれば、誰からTTPすれば良いのか一目瞭然です。あるいは、データベースが無いとしても、社内で事例発表会や表彰制度などがある会社も少なくないでしょう。これで目星をつける事も可能です。

 

スーモカウンター時代のTTPS

私がかつてリクルート時代に担当していた「スーモカウンター」では、接客を17のステップに分割し、それぞれのステップにおいて顧客の重要度と満足度を測定していました。その17のステップそれぞれについて顧客満足度が高いメンバーを明確にして、そのメンバーがどのように接客しているのかムービーを作成していました。

 

全てのメンバーは、自分の接客について、顧客満足度から強み、弱みを数値で把握できます。弱みを強化する場合に、誰の接客をTTPすれば良いのかが分かっています。しかも、その人の接客をムービーで見られるので自主学習ができるわけです。

 

これらの仕組みにより、TTPする風土ができていました。ちなみにこれは接客だけではありません。資料の作成の仕方、出店計画の作り方、採用活動の仕方など、さまざまな場面でノウハウがまとめられていました。

 

結果として、新しく組織に入った新入社員や中途採用者が、早期に立ち上る可能性が高まります。早く立ち上がり、成功体験を持てるわけです。従業員満足度も上がり、離職率が下がります。さまざまな場面でTTP活用している組織は、イケテイル組織になれる可能性が高まります。

 

ハイパフォーマは、自分が好業績を挙げられている理由を自覚していない

私たちがスーモカウンターでTTPをする中で、見つけた典型的な失敗例を紹介しましょう。具体的にTTPする内容を把握する際に、ハイパフォーマにインタビューをするのだろうと早合点をする人がいます。これが実はうまくいかないのです。

 

どうしてでしょうか。大半のハイパフォーマは、自分が好業績を挙げられている理由を自覚していないのです。不思議ですよね。

 

理由はシンプルです。ハイパフォーマが好業績を挙げているポイントは、実は彼らが無意識にできている箇所にあることが多いのです。息をするようにやっている箇所が好業績のポイントだったりするのです。彼らにとっては、あまりに自然な行動なので、それが好業績のポイントだとは気付かないのです。

 

では、どうすれば良いのか。ミドルパフォーマ(平均的な業績者)と対比すれば良いのです。ハイパフォーマだけがやっている箇所、あるいは逆にやっていない箇所。または順番の違いなどに好業績の秘密があり、これは第三者が観察しないと分からないものなのです。

 

この本ができたきっかけ

最後にこの本が出版できた話を紹介させてください。

 

この本は著者の一人の肱岡優美子さんが出版社の出版塾に通ったことがきっかけでした。肱岡さんは、私と同じく著者の一人の鈴木利和さんがスタートしたTTPS勉強会の事務局メンバーの1人です。出版塾では、講義の最後に「本の企画」を提出します。そのテーマとして「TTPS」を取り上げても良いかと打診がありました。肱岡さんは仲間なので、当然OKです。そしてその本の企画が最優秀賞に選ばれたのです。最優秀賞の副賞が本の出版でした。そんなきっかけで、私にとって10冊目のこのTTPSマネジメントが世に出たのです。

 

TTPSは仕事だけではなく、学校でも活用できます。この本を出版したことをきっかけに現在全国の先生方と学校での教育をTTPSするための勉強会もスタートしました。世の中に着実にTTPSの輪が広がっています。みなさんもぜひぜひ、さまざまな場面でTTPSを活用してみてはいかがでしょうか。

 

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■書籍情報

『学びを最大化する TTPS (徹底的にパクって進化させる) マネジメント』
著者:中尾 隆一郎
出版社: ディスカヴァー・トゥエンティワン
価格:1,760円(税込) 

この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。

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プロフィール

  • 中尾 隆一郎氏

    中尾 隆一郎氏

    FIXER 執行役員副社長

    1989年大阪大学大学院工学研究科修了。同年リクルート入社。リクルート住まいカンパニー執行役員(事業開発担当)、リクルートテクノロジーズ社長、リクルートワークス研究所副所長などを経て、現職。旅工房 社外取締役を兼任。

    著書に「リクルート流仕事ができる人の原理原則」「営業マン進化術」「転職できる営業には理由がある」など成長し続ける組織つくりを支援するTTPS勉強会主催。

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