2020/01/20
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私が経営者になった日
第31回
【ワコム 井出氏】ロジックだけではない反骨と使命感で。(Vol.1)
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- 井出 信孝氏 株式会社ワコム 代表取締役社長兼CEO
「今思うと恐ろしいんですけどね。事業部の期初のキックオフで“分社しようぜ!それが俺らのゴールだ”って言っていましたね。今そんなこと聞いたら“なんじゃお前、どんな裏切り行為じゃ”とか言って問い詰めますけど(笑)。そんな感じで、めちゃくちゃでしたが、ただ自分なりの事業への想いを持って、やっていました。
ただ、ある時、会社全体が、ある種の危機といってよい状況に見舞われ、そのとき、自分がどういう立ち位置でいるべきかを考える機会が訪れたわけです。“どうする?自分がトップをやるしかないんじゃない?”みたいな使命感というか、覚悟が自然に生まれた、本当にそれだけだった気がします。それはもう今思い返してもカッコつけじゃなくて、報酬でもなく、最高峰のポジションになりたいとかいう気持ちでもありませんでしたね。」
●初めて違う視点が開けて覚悟を決めた。
「自分の立ち位置を考えざるをえない状況に追い込まれて、初めて違う視点が開けていく、そんな体験だった気もします。“え?マジですか?”みたいな状況で、使命が『降りてきた』というか、覚悟を決めたというか、そんな感じ。ただ、そこには反骨精神みたいなものもありました。当時の会社の状況に対して“そんなんじゃないでしょ。そんなんだったら自分がやりますよ”という、ロジックだけでは説明しきれない反骨精神みたいなものと使命感が紐づいていました。」
新社長就任前には、取締役会で指名委員会が構成され、そこで次世代のCEOの適性を測るプロセスがつくられ、次期CEOのクライテリアが設定されていた。
「指名委員会やそのプロセスは当然尊重する。でも、“これはやるか、やらないかだ”と確信していました。。この状況下でやるって決めた人がやらないと駄目ですよねということで、僕がやると決めましたというステートメントを出したんです。
その上で、決定前に自分がやるという思いのもと、デュッセルドルフに有志を集めて、そこで自分がトップをやるからと宣言。『チャプター2』という言葉をつくって、そのときの軸として、揺るがない原点とビジョンは僕が決めるからということを告げました。」