2019/09/17

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スペシャルコラムドラッカー再論

第188回

中企業の3タイプ。

  • エグゼクティブ
  • マネジメント
  • 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

 

前回までの3回、小企業の特徴と、そこで求められるトップマネジメントについて見てきた。
今回からは、中企業をドラッカーがどのように見ているかについて追っていく。

 

「中企業は多くの点で理想的な規模である。大企業と小企業双方の利点に恵まれている。誰もがお互いを知っており、容易に協力できる。チームワークは、特別に努力しなくともひとりでに生まれる。誰もが、自らの仕事が何であり、期待されている貢献が何であるかを知っている。資源は十分にある。したがって、基幹活動を行うことも、卓越性が必要な分野で他に秀でることもできる。規模の経済を手にするだけの大きさもある。それは中流である。産業社会にあって最も安定しており、最も優雅であり、最も生産的である。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)

 

そもそもドラッカーは、中企業とはいかなる規模(売上、従業員数など)の企業を指すのかについて明示はしていない。
我々的には、「売上**億円、従業員数**名までが小企業、***億円~***億円、従業員数**名~***名が中企業」などと定義してくれると分かりやすいが、もちろんドラッカーが指し示すところは、こうした定量的なことではなく(それは結果だ)、経営資源状況や市場に対し、どのような影響力を持てているか、などから推し量られるのが小企業・中企業・大企業の定義なので、結論としては上記のような状態にあてはまるのが中企業、ということになる。

 

ドラッカーは更に、事実上、中企業には三つのタイプがあると言っている。

 

第一が、単一技術、単一市場の中企業だ。基本的には小企業だが、基幹的な要員は一人の人間が詳しく知るには多すぎるという企業を指している。
第二が、製品の種類と市場は複数持つが、事業的にはそれらのいずれもが類似の特性を持つという中企業。
第三が、複数の事業を持つが、そのいずれもが相互依存関係にあるという中企業。

 

この中の第三が、相乗効果を狙った事業経営となる。それぞれが独立した事業であり、かつその相互依存関係ゆえに、全体として一つの事業としても見え、マネジメントすることができるものである。ドラッカーはニュアンス的に、このパターンの中企業が好みなのかなと感じる。

 

「これら三つのタイプは、いずれも中企業である。言い換えれば、これらの企業ではトップマネジメント・チームの数人のメンバーが、組織図や記録類を見ることなしに、基幹的な人材とその担当、経歴と見通し、強みと弱みを知っているということである。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

これがドラッカーが、中企業が魅力的な規模だ、という理由だが、一方ではその他の点につい...

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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