TOP スペシャルコラムドラッカー再論 小企業のトップがやらなければならないこと(2)。

2019/09/02

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第186回

小企業のトップがやらなければならないこと(2)。

  • エグゼクティブ
  • マネジメント
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

前号(VOL.185)に続く。

 

小企業のトップがやらなければならないことの第二は、トップマネジメント・チームのメンバーの役割を組織化することである。

 

「小企業とは、専任のトップマネジメントが一人で十分という規模の企業である。事実、小企業の多くは、トップ自身がいくつかの職能別の分野を担当している。しかし、そのようなことが行われうるからこそ、小企業は事業目的の実現に必要な主な活動が何であるかを明らかにし、それを誰かに担当させることが必要となる。さもなければ、基幹活動のいくつかが力を入れられることなく放置されたままとなる。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)

 

これは本当に、全くその通りだ。典型的な小企業ベンチャーを経営している我が事として、そう痛感する。

 

小企業の多くが、「何が基幹活動かだって?そんなこと、うちははっきりしているし、社員たちも全員、理解しているよ」と言う。実際にそれらの活動をしていると、経営者は思っている。
ところがよくよく現実を見てみれば、基幹活動に関しては誰もが口にしていながら、その実、誰も注意を払っていないことが明らかになる。見えてはいるが、見ていない。放置状態だ…。

 

「つまるところ、小企業にもトップマネジメント・チームが必要だということである。トップマネジメント・チームのメンバーのほとんどは、トップマネジメントとしての仕事はパート的に行ってよい。主とする仕事は職能別のものであってよい。しかし、そのメンバーたる者は、何が基幹活動であり、何がそれぞれの目標であり、誰が担当しているのかを知らなければならない。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

第三に、小企業には人材が足らない。ゆえにトップは、集中が不可欠だ。
基幹活動を識別し、トップマネジメント・チームの誰かの仕事にしない限り、集中は行われず分散が起こるだけだ。

 

「小企業では、特にトップマネジメント・チームの長たるトップ本人に成果をあげさせなければならない。職能別の仕事を何も担当せずに、すべての時間をトップマネジメントの仕事に投入できたとしても、仕事の負荷は十分に重いはずである顧客からの要求がある。従業員、取引先、銀行からの要求がある。トップとしての責任を自覚しない限り、彼のエネルギーは放散されるしかない。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

そこでまず初めに考えるべきことが「トップ本人が得意としているものは何か」「社内の誰よりもよくできるものは何か」「得意としているもののうち、組織の存続と成功にとって決定的に重要なものは何か」である、とドラッカーは言う。

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。