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2019/08/26

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スペシャルコラムドラッカー再論

第185回

小企業のトップがやらなければならないこと(1)。

  • エグゼクティブ
  • マネジメント
  • 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

 

「われわれはすでに100年にわたって、優れた権威たちから、小企業は巨人に呑みこまれつつあり、消滅寸前だと聞かされてきた。だが、これは100年間ずっとナンセンスだった。小企業は100年前と同じように活動している。経済における小企業のウエイトは、寡占化や集中の予言にもかかわらず、質量ともに100年間変わっていない。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)

 

中小企業(ドラッカーの表現では小企業と中企業)と大手企業(ドラッカーの表現では大企業)の関係性は、択一的・選択的なものではなく補完的なものであることをドラッカーは上記のように表現している。
中小企業は大手企業に依存し、大手企業は中小企業に依存している。そのことは、あえてこと更に、系列やゼネコン型業界構造を持ち出さずとも、特に垂直統合の強みやメリットが崩れアウトソースを組み入れたバリューチェーンがあらゆる産業で一般的なものとなっている今、我々経営者にとってなんら違和感のないことだ。

 

そもそもマネジメントとは大企業のためのものであり、中小企業には必要ない。そう思っている、発言している中小企業経営者は、いまだに存在しているが、これは全くの間違いだとドラッカーは述べている。

 

「小企業は、大企業以上に組織的かつ体系的なマネジメントを持たなければならない。確かに大仰な本社スタッフは要らない。込み入った手法や手続きも要らない。そのようなものをもつゆとりはない。だが、高度のマネジメントは持たなければならない。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

まず第一に、小企業こそ戦略を持たなければならない。

 

「小企業は限界的な存在にされてはならない。その危険は常にある。したがって、際立った存在となるための戦略を持たなければならない。有利に戦うことのできるニッチを見つけなければならない。地理や嗜好など市場に関わるニッチでもよい。サービスの卓越性に関わるニッチでもよい。技術に関わるニッチでもよい。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

現実にはほとんどの小企業が戦略を持たない。機会中心ではなく問題中心だ。問題に追われて日々を送る。だからこそ小企業の多くが成功できない。ドラッカーはそう指摘する。全く耳の痛い話だ。

 

「したがって、第一に、小企業のマネジメントに必要とされることは、『われわれの事業は何か。何であるべきか』を問い、それに答えることである。」

 

 

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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