2019/02/28
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第23回
緊張するから、いいプレゼンができる
- キャリア
- ビジネススキル
- 永井 千佳氏 トップ・プレゼン・コンサルタント、ウォンツアンドバリュー取締役
◆読みどころをピックアップ
第2章では、「緊張のトリセツ」を紹介しています。あがり症も口下手も、緊張の取扱説明書(トリセツ)通りにやれば、緊張しない人に勝つことができます。これから緊張のトリセツ通りにやってみましょう。
第一歩は、自分を知ることです。
緊張することにかけては誰にも負けなかった私ですが、音楽が好きで、ピアニストになりました。しかし大事なことを忘れていました。「ピアニストは、人前で演奏しなければいけない」人前でガタガタ緊張しながら演奏活動をしていましたが、まったくうまく弾けません。
そんな私は悩み抜いた末、あらゆるツテをたどって有名な先生にレッスンをお願いしました。最初のレッスンで先生はこう聞いてきました。「本番を録音したか」2回目のレッスンでも先生は聞いてきます。「本番を録音したのか? 何回聞いたのか?」
私はなぜ何も教えずに録音したかどうかを聞くのか、訳が分かりませんでした。あまり先生がしつこく言うので、「面倒くさいなぁ。自分でも分かっているんだけどなぁ」と思いながら、本番の録音を聞いてがくぜんとしました。聞いてみると、アガっていて、予想以上に下手なのです。聞くに堪えません。
「こんなのを、他人に聞かせていたんだ……」
自分が意図していることがほとんどできていませんでした。一方で自分の思い込みとは違うところもありました。結果が良いときは、最初の5分間に極度な緊張ではね飛ばされそうな気持ちをつないで堪えています。結果がダメなときは、最初の5分間でいろいろな失敗をして気持ちが切れてしまい、その後も雑でうまくいきません。
結果は最初の5分間で決まっていたのです。
その後、社長さんのプレゼンを診断する仕事を始めましたが、同じことが起こっていました。緊張する人は冒頭5分間で緊張のピークが来ます。そしてどんなに緊張している人でも最初の5分間を乗り切れば、後はなんとかなるのです。特に大事なのが、最初の3分間でした。
緊張する人は、「最初の3分間は、魔の時間」と覚えておいてください。この3分間を乗り切れば、5分間まで持たせることができ、その後、あなたの緊張を別世界に連れていってくれるようになるのです。
◆緊張はなくすな。緊張は生かせ
これまでは「緊張すれば失敗する。緊張は努力で克服するもの」と教えられてきました。「緊張は悪いもの」と考えられていました。これは宝物をわざわざ捨てているようなもの。緊張を生かせないのは当たり前です。大事な本番にのぞむとき、緊張で悩んでいるあなたは、正しい緊張の生かし方を知らないだけなのです。ビジネスパーソンの皆さんも、緊張をなくそうとはせずに、緊張を生かすことであなたの思いを伝え、素晴らしいプレゼンを行ってください。
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■書籍情報
『緊張して話せるのは才能である』
著者:永井千佳
出版社:宣伝会議
価格:1,944円(税込)
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
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