2017/07/27
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エグゼクティブ転職 経営者JP井上の視点
第1回
「幹部人材」と「経営人材」、その間にある大きなキャズム(溝)とは?
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管理職として登り詰めた先に経営職がある、という大きな勘違い
読者の皆さまは、多くが現在、管理職としてご活躍されており、更に上位の役割を担うべく新天地のご検討もされていらっしゃることと思います。多くの皆さんが新卒入社の会社で新人として働き始めて以来、一般社員→主任→係長→課長→部長→事業部長/執行役員→取締役→社長(→会長)という線形のプロモーションをキャリアイメージとして想定し、その時々の職務を遂行してこられているのではないでしょうか。さて、そのようなキャリアパスの過程において、みなさんは現在、どの職位にいらっしゃるでしょうか?今回の転職では、1つ(あるいは2つ?)上の職位に自身の役割・裁量を上げたいという方も少なくないでしょう。
私は経営者JPという経営層・幹部層に特化したエグゼクティブサーチ/人材コンサルティング会社を経営し、自身も前線のコンサルタントとしてクライアント各社の経営陣採用、幹部採用の支援を行っておりますが、皆さんが現在、中間管理職層にいらっしゃるか、経営層にいらっしゃるかで、そのキャリアご支援における見るべきポイントやマッチングのポイント、アドバイスのポイントが大きく異なるということは、案外知られてないことのようです。
そもそも課長〜部長(=中間管理職層)としてご活躍・昇進してこられたその<頑張りの延長線上>には、事業部長・役員(=経営層)のポジションは存在しないのです。
中間管理職として努力し結果を出し昇進を狙う。このスタンスではおそらく「永遠の部長止り」となることは、間違いありません。これではどうして経営層にはなれないのでしょう?一体、何が間違っているというのでしょうか?
あなたは「幹部人材」?「経営人材」?
ここでは中間管理職層(課長・部長職位)で活躍される方々を「幹部人材」、事業トップや役員層で活躍される方々を「経営人材」と呼ぶことにします。さて、「幹部人材」と「経営人材」の違いは、何でしょう?結論から述べれば、「幹部人材」とは「経営や事業の要請のもと、その中の組織を担うリーダー」であり、「経営人材」とは「経営や事業を統括、執行するリーダー」です。
当たり前じゃないか、知ってるよ。そう思われた方も少なくないかもしれませんね。では、この2つの違いを、もう少し異なる側面から述べてみましょう。
幹部人材:自分の働き(稼働)に対して報酬を貰う人
VS
経営人材:会社、事業から出た収益から報酬を貰う人
幹部人材:経営や事業の「目的」「目標」「課題」に応える人
VS
経営人材:経営や事業の「目的」「目標」「課題」は何かを設定する人
更に端的に述べれば、
幹部人材:給与を貰う(という意識の)人 経営人材:給与を払う(という意識の)人
幹部人材:会社の「問い」に答える人 経営人材:会社の「問い」を立てる人
です。
「雇われる側の目線」 対 「雇う側の目線」といえば分かりやすいでしょうか。この違い・差から、決して「幹部人材」として頑張り優秀であることの延長線上に「経営人材」がある訳ではないことを認識いただけることと思います。です。
さて、あなたはいま、「幹部人材」でしょうか、「経営人材」でしょうか。(肩書き・役割、ということよりも、自身のあり方・視座・行動の実態として、どうでしょう?)
転職で「幹部人材」から「経営人材」に上がれる条件は?
仮にいま、あなたが「幹部人材」で、今回の転職で「経営人材」に上がりたいとすれば、どうすればよいでしょう?転職ご相談を受けていて、よく「事業部長をやらせてくれれば、事業を動かすレベルの仕事をやります」「経営陣に入れてもらえれば、経営者としての動きに変えます」というようなことをお話しされるマネジメントの方にお会いします。しかしこれは、転職先・雇用先の経営者からすれば全く説得力を持たないので、このように話すことはやめましょう。
私はしつこいくらい、あちらこちらで「一事が万事」ということをお話ししたり書いたりしています。いまやれていないことが、場や立場が変わったから急にできるようになるということは、残念ながら基本的にありません。「いま、事業部長クラス・経営陣クラスの視座や行動力で動けている部長」の人が、現職ではあいにくと何がしかの事情・理由で部長に留まっていることが勿体無く、新天地の企業から「ぜひ、我が社で事業部長をやって欲しい。経営陣に参画して欲しい」と思われるのです。
極論、今の肩書きや役割は関係ありません。実態としてあなたが「幹部人材」クラスの仕事をしているのか、「経営人材」クラスの仕事をしているのか、それで転職活動を通じてのご縁先での役割(の上がり下がり)が決まるのです。
あなたがもしいま「幹部人材」で、今回の転職で「経営人材」に上がりたいならば、まず今の仕事の仕方が「給与を払う側の意識」「会社、事業のテーマ・課題自体を設定できる」経営人材としての業務遂行ができているか否かを確認頂き、できているなら、それを自信を持って転職面接・面談でお伝えください。
もしまだならば、「経営人材」としての自分を確立した上で転職されるのか、「幹部人材」として転職するのか、はっきりさせて臨めば、結果は必ずご自身の設定に合致したよいものとなるはずです。
いま市場では絶対的に「経営人材」が不足しています。皆様の中から、一人でも多くの、志高き経営人材が輩出されていくよう、我々も候補者の皆様と伴走・ご支援に努めてまいります。
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