2018/07/23
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理論で固める経営戦略
第2回
VUCAと企業戦略(2) アンゾフのマトリクスとリスク特性分析
- 経営
- 佐々木一寿 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 組織行動研究所
◇VチームとUCA(ユーカ)チーム
前回は、VUCAを、VのリスクとUCAのリスクに分けて考えるべき、という論を展開してきた。
V(ボラティリティ)チームとUCA(不確実性)チームとに分けた場合、そのリスク特性が異なるからだ。
簡単に例を挙げるならば、Vは通常業務の今期見通し、UCAはまったく新しい試みの見通しといったものが該当する。
ボラティリティ(V)は比較的わかりやすいリスクだ。特徴を平易に言えば、推定値や平均値を想定し、それからのブレが大きいか小さいかを見て、現状を分析する、という性質をもつ。売上管理、コモディティの生産管理といった、量や時期の計画が明確でそれからの乖離のしやすさで表される。乖離の幅を小さくするように改善していくことで、蓋然性の見通しをよくしていくことができる。
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【ボラティリティ(V)のリスク】
平均からのブレで表現される
・β(ブレ度)があらかじめわかっていれば、ブレやバラつきの予想ができ、
それに対処すればよい
・ブレやバラつきを少なくするために、βが小さくなるように業務改善をして
いけばよい
・β=0にできれば、ブレやバラつきは理論的にはなくなる(≒リスクが0に
なる)
という考え方やアプローチがとられることが多い。これはいわゆる
”カイゼン”の典型的アプローチ
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一方で、不確実性(UCA)はわかりにくいリスクだ。分布が想定できず、平均値もわからない。想定値が設定できないため、原理的に全体を見通してのプロセスプランニング自体が難しく、逆算的なアプローチがとりにくい。
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【UCA(不確実性)のリスク】
ボラティリティとの比較で言えば、
・想定値が設定できないため、プランニングが難しい。ゆえに逆算的な
アプローチがしにくい
・ブレやバラつきとしての分析が原理的にできず、現象の解釈が難しい。
ブレやバラつきを小さくしていくような業務改善が難しい
・介入行為によってリスクが増大するか減少するかは事前に理解できな
い(事後的には結果検証がある程度可能)
というような性質となり、目標設定が難しく、逆算アプローチがしに
くく、カイゼンプロセスが有効かどうかの分析が難しく、ただ事後的
な検証はある程度可能ということであれば、これは、いわゆるスモー
ルスタート的なトライ&エラー&フィードバックのア...
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