TOP スペシャルコラムドラッカー再論 機会に集中する人事。

2018/07/17

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第130回

機会に集中する人事。

  • エグゼクティブ
  • マネジメント
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

 

組織は、問題ではなく機会に目を向けることにより、その精神を高く維持することができる。

 

「機会すなわち成果にエネルギーを集中するとき、興奮、挑戦、満足を得る。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)

 

問題に目を向けることが中心となる組織は、守りの組織である。ドラッカーは、こうした組織は「悪くさえならなければ成果を上げている」と考えると指摘する。
一方、機会重視型の組織は攻め型組織だ。ドラッカーは、機会を成果に結びつけていく攻め型組織のほうに軍配を上げている。

 

「もちろん機会を重視するのであれば、組織の中の全員に対し、それぞれの目標において機会を重視すべきことを要求しなければならない。「組織全体と自らの部門の成果に最大のインパクトをもつであろう機会は何か」との問いこそが、自らがあげるべき成果を考えるうえで最初に取り組むべき問題とされなければならない。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

この機会中心、成果中心の精神を高く維持するためには、配置、昇進昇格、降格・解雇などの人事にまつわる決定こそが最大の管理手段であることをトップマネジメントは認識しなければならない、とドラッカーは述べる。

 

「それらの決定は、人間行動に対し、いかなる数字や報告よりもはるかに影響を与える。組織の中の人間に対して、マネジメントが本当に欲し、重視し、報いようとしているものが何であるかを知らせる。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

組織は人事に反応する。トップマネジメントにとっては小さな都合や行きがかりによるものだったとしても、人はみな、トップマネジメントの言行不一致と受け止めるのだ。(例えば、「過剰な資料作成は不要」とのポリシーがありながら、個別の資料に対して「なんだ、もっと綺麗に作れ!」とトップが言うならば、社員の目は「綺麗な資料作成」に向かう。)

 

ドラッカーは、なかでも特に重要な意味を持つのが、昇進と配属だと言う。
もちろん人事だけで組織の精神が強化される保証はない。だからこそ、人事にはトップマネジメント自らが直接関与する必要がある。
基幹人事、トップマネジメント直下の役員、事業部長層は当然のこと、その下の「アッパー・ミドル」層のポスト管理こそが、わが社が何を重視し、どのような行動(を取るマネジメント)を評価するのかを反映する。

 

「何よりも、それらの人事こそが、組織において重大かつ象徴的な意味を持つ。それらの人事こそ、目立つ人事であり、組織全体にメッセージを伝える人事である。それは、「これが、会社が望んでいることであり、認め、報いることだ」という...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。