TOP 志のリーダーシップ なぜ「魂の入った志や目標設定」が必要なのか?(1/5)

2018/01/15

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第1回

なぜ「魂の入った志や目標設定」が必要なのか?(1/5)

  • リーダーシップ
  • スペシャル対談
  • グロービス・コーポレート・エデュケーション マネジング・ディレクター 知命社中 代表 鎌田英治
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

井上 ところで、このテーマに鎌田さんが行き着いた過程をご説明いただけますか。

 

鎌田 先ず「経営の難易度が上がっている」という時代認識があります。変化のスピードと大きさは加速し続けていますし、市場を押さえることも、競争を勝ち抜くことも難しさが増している。つまり、相当考え抜いて、ライバルがする以上の努力をしないと、事を成し遂げ、成果をあげることはできない時代だと言えます。この認識が出発点です。努力の中身は、単に「精神論・根性論で頑張ります」ではなく、極めて秀でた戦略や他を圧倒するビジネス・アイデアがなければいけないでしょう。同時に、そうした戦略やアイデアを、やり遂げ具現化できる人・組織を構築していくことが求められます。――つまり、戦略構築とその実行の両面において、圧倒的な力が必要な時代だと思います。“そこそこ”では話にならない、負けてしまいます。ということは「そこまでやる強い覚悟、コミットメントはありますか?立てた志や目標にあなた自身の魂は入ってますか?」ということが問われる訳です。
志や高い目標、コミットメントの重要性という話は、多くの人が知っていることだし、ビジネス・リーダーにとっては一種の「共通言語・常識」とも言えるとも思います。ですので、志が必要な理由をもう一段深めてみたいと思います。先ほど申し上げた通り、「難しい時代には並大抵の努力ではダメだ」という前提認識ですから、徹底して考え抜き、戦略やアイデアを磨き込み、価値観が多様な人々をその気にさせることは不可欠。そういう骨の折れる仕事をやり遂げることができるか?という命題にどう向き合うかという話です。自分が目指すものに芯となる魂が入っていないと、どこかで折れてしまうと思うんですね。

井上 僕らもエグゼクティブサーチをやっていて、実は、そのことをよく感じます。幹部クラスと経営クラスの方がいたときに、実態としてそのポジションにいるかどうかではなく、発想や考え方の面で、その人がどちらのステージにいるかは、転職の際に如実に出ると思っているんです。
ここは鎌田さんのご意見を聞きたいのですが、今の話って、やはり経営クラスの方が必ず持っていなければならないものだと思います。持っていなくてもできるのは幹部クラスまで。経営クラスは、そこがないとダメなんですね。ところが、転職のご相談に乗るときに、「何をしたいんですか?」という話に答えられる方は2割ぐらいしかいない印象です。託されたことをしっかりできることは悪いことではないし、それに長けた幹部クラスの方はいらっしゃるんですが、でも、その人たちが経営をやりたいと言ったときに、気持ちはわかるけれども、鎌田さんがおっしゃった部分での使命と志がないと経営クラスのところへは太刀打ちできないと思うんですね。ここのギャップがある方は、けっこう多いと思っています。

 

鎌田 実態としてその通りの面はあるでしょうね。社長(Top of tops)を除く幹部クラスというのは、いわば機能的分業責任を担う存在という面があります。その領域のプロフェッショナルであるのは間違いない。でも、それを超えて求められるチャレンジは、経営クラスとしての視座と能力に次元を高めること。ここは不連続なようですが、連続させないといけない。人材的にそこをつなげないと企業の永続的経営は成り立たなくなってしまいますよね。僕は、そこの断層というか、壁をどう乗り越えるか、あるいは、断層自体がなくなるためにはどうしたらいいかを考えることが、これからのテーマだと思っているんです。

 

(構成・文/津田秀晴)

 

※「知命社中」についてはこちらからもご覧いただけます。

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プロフィール

  • 鎌田英治

    グロービス・コーポレート・エデュケーション マネジング・ディレクター 知命社中 代表

    北海道大学経済学部卒業。コロンビア大学CSEP(Columbia Senior Executive Program)修了。日本長期信用銀行から1999年グロービスに転ずる。長銀では法人営業(成長支援および構造改革支援)、システム企画部(全社業務プロセスの再構築)、人事部などを経て、長銀信託銀行の営業部長としてマネジメント全般を担う。グロービスでは、人事責任者(マネジング・ディレクター)、名古屋オフィス代表、企業研修部門カンパニー・プレジデント 、グループ経営管理本部長、Chief Leadership Officer(CLO)などを経て、現在は株式会社グロービス マネジングディレクター 兼 知命社中 代表。講師としては、グロービス経営大学院および顧客企業向け研修にてリーダーシップのクラスを担当する。著書に『自問力のリーダーシップ』(ダイヤモンド社)がある。経済同友会会員。

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    早稲田大学卒業後、リクルート入社。コンサルティング会社取締役、リクルートエグゼクティブエージェントマネージングディレクター等を歴任。2010年経営者JPを設立し、現職。