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2016/04/11

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スペシャルコラムドラッカー再論

第21回

イノベーションを発揮する組織創り。

  • マネジメント
前号を受けて、さて、では。どのようにすれば、イノベーションを発揮する組織を創ることができるのだろうか?

「企業家精神のためには、組織の中の一人ひとりが新しいものを求める存在となる必要がある」(『イノベーションと企業家精神』1985年)

自社をそのような組織とするために、トップマネジメントはいかにしてイノベーションに対する障害を克服するかに関心を持つが、ドラッカーはこの問題意識の持ち方は間違いだと言う。

「正しい問題は、いかにしてイノベーションを当たり前のこととし、それを望み、その実現のために働くようになるかである。イノベーションを異質なものとして推進していたのでは何も起こらない。日常業務とまではいかなくとも日常的な仕事の一つとする必要がある」(『イノベーションと企業家精神』)

そのためにドラッカーが挙げるのが、既存事業。・業務において、すでに活力を失ったもの、陳腐化したもの、生産的でなくなったものの廃棄の制度化だ。

「廃棄とは、あらゆる種類の組織が自らの健康を維持するために行っていることである。いかなる有機体といえども、老廃物を排泄しないものはない。そもなければ自家中毒を起こす」(『イノベーションと企業家精神』)

既存のものの廃棄は、企業がイノベーションを常態化することができるようになる上で、必要不可欠なことなのだ。

その上で、ドラッカーは、最高の人材をイノベーションに充てることと、会議を「問題に集中する会議」と「機会に集中する会議」の二つに分けることを提案する。

「イノベーションには人減のエネルギーが必要である。有能な人間という最も希少な資源による厳しい働きが必要である」(『イノベーションと企業家精神』)

次回、さらに詳細を紹介してみたい。

(続く)

プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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