TOP 人生100年時代のキャリアとリーダーの組織行動 「遊・学・働」〜遊ぶ、学ぶ、働くの区別なく働ける場を得ることがこれからの鍵。(3/5)

2017/07/11

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人生100年時代のキャリアとリーダーの組織行動

第3回

「遊・学・働」〜遊ぶ、学ぶ、働くの区別なく働ける場を得ることがこれからの鍵。(3/5)

  • キャリア
  • スペシャル対談
  • 組織
  • 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
  • 古野 庸一氏 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 組織行動研究所 所長
井上 世の中が実は大きく変わろうとしている中で、僕らの働き方も確かに変わっていくのでしょう。その中で仕事を楽しみ、やりがいを作っていくことに関して、古野さんはどのように考えていますか?

 

古野 一個人として、どういう仕事が面白いかという話で言うと、それこそ1970年代、ハックマンとオールダムの研究で、①技能多様性(多様な技術を使える)、②仕事完結性(仕事が分断されておらず、意味がある単位である)、③仕事の有意義性(意味がある仕事だと思える)、④自律性(自分の工夫がいかせる)、⑤フィードバック(仕事の結果がわかる)――の5つが、人が仕事として面白いと思える5条件だと言っています。
それは今でもそうだと思っていて、これは一体なんだろうなと思ってみたときに、たまたま先ほど狩猟採集民の話をしましたが、仕事って昔はそうだったんだろうなと思うんです。
狩猟採集もそうだし、農耕もそうだし、仕事としてわかりやすいし、いろんな技術も必要だし、完結性もある。当然、獲れた獲れないのフィードバックもあるし、当たり前だけど、仕事の意味はめちゃめちゃある。そして自分でコントロールもできます。

 

井上 なるほど。面白い視点ですね。

 

古野 仕事って基本的には面白いもので、僕は、面白いからこそみんなが一生懸命やったのではないかと思っているんです。現代では、狩りも趣味になっているし、園芸も趣味として楽しんでいる人がいますが、もともとそれ自体が面白かったんでしょうね。ところが、近代になって、仕事が分業化して、基本的にはつまらなくなってしまった。あのアダム・スミスも、「分業すると効率上がるし生産性も上がるけれど、人間がアホになる」みたいなことを書いているんですよね。簡単に言うと。
だから、仕事の話で言うと、人はだんだん「こんなつまらない仕事を……」と思いながらずっと我慢してやり続けるというところから、「実は面白い仕事もいっぱいあるんだな」と気づき始めて、逆に、面白くない仕事は機械化されていく。少しずつですが、そういう方向にシフトしていくといいと思っています。
若者もよく言うでしょう?「意味がない仕事や成長の無い仕事は嫌だ」と。それは贅沢な話でもあるんですが、もともと人間というのは、そういう面白いことばかりをやって来たということも含めて考えると、彼・彼女らの言うことにも一理はあるのかもしれません。
大昔、人は「働く」ということを考えていなかったんじゃないかと思うんですよ。狩りをするのは「働くぞ」ではなくて、「今日飯を食わなきゃ」「狩りをするぞ!」という感じだったんじゃないか。

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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  • 古野 庸一氏

    古野 庸一氏

    株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 組織行動研究所 所長

    1987年東京大学工学部卒業後、株式会社リクルート入社。南カリフォルニア大学でMBA取得。キャリア支援に関する事業開発、NPOキャリアカウンセリング協会設立に参画する一方で、リーダーシップ開発、キャリア開発に関する研究に従事。2009年より現職。著書は『いい会社とは何か』(2010年 講談社現代新書)、『日本型リーダーの研究』(2008年 日経ビジネス人文庫)、『リーダーになる極意』(2005年 PHP研究所)、訳書に『ハイフライヤー 次世代リーダーの育成法』(2002年 プレジデント社)など。論文に「『一皮むける経験』とリーダーシップ開発」(2001年『一橋ビジネスレビュー』)、「プロ経営者になるための学びのプロセス」など。

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